にしおかすみこさん連載「ポンコツ一家」。2020年のコロナ禍、実家に帰って目の当たりにしたのは、認知症になっているとしか思えぬ母の姿と、荒れ果てた実家だった。酔っぱらいの父とダウン症の姉と3人暮らしだった実家に帰って同居を決意したにしおかさんが、愛をこめて自分の家族を「ポンコツ一家」と呼び、実体験を綴っている。

連載4回目の前編では、医師から認知症の診断を受けた母がにしおかさんを「麻薬中毒で宗教にハマった引きこもり」と認定してしまった話をお伝えした。後編ではそのタイミングで起きたハプニングから知った「母の別の顔」をお伝えする。

女王様スタイル時代のにしおかさん 写真提供/にしおかすみこ
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朝のドタバタが

私がパッチ型ビタミン剤を腕に張っているのを見たその日以来。
母にとって私は麻薬中毒で注射の跡を絆創膏で隠して、宗教にハマり実家に引きこもっている人になった。

話を戻す。
そこからの朝のドタバタだ。
なかなか引き下がらない母に、
最後は私が「うるさい! 出頭するから玄関で待っとけ!」と母を部屋から追い出し……後悔し……寝る。

のそのそと起きる。9時過ぎ。
少し時間が空くと母の気持ちが逸れていることが多い。
何事もなかったようになる。それはそれでいい。

朝ごはんを済ませ家事。
ウチには洗濯すると白い服が薄汚れるという、古く汚い20年ものの洗濯機がある。洗濯する度に気が滅入る。

おまけに脱水を拒否し
ピーピロピーピィ~と終わりましたよを軽快な音で知らせてくる。

ポンコツがと口に出す。
それを母が覗きに来る。
「今日はハズレね。機嫌が悪いのよ」と。

Photo by iStock

家電の機嫌まで知るか。母の機嫌は良い。
「一番安いのに買い替えよう」と言ってみる。

「使えるものを何で捨てる!」と母が怒り出す。沸点が難しい。

大声が珍しく父の耳にも届いたようだ。
居間の窓を開け、軒下の小さな縁側もどきに座っている。
日向ぼっこしながら私に声で加勢してくれる。
「すみが買ってくれるんだろう? 甘えたらどうだ? なんでも世代交代はあるんだ。快く我々が身を引いてあげるのも我々の務めだろう」

母が「パパクソのやつ何言ってんだ」と。
同感だ。酔っぱらっていなくても話がややこしくなる。それが父だ。

お金に余裕もないので、反対されると買う決心が鈍る……。
ビッチョビチョの洗濯物を風呂場で絞り、カゴに入れ母に渡す。
「はい、これ干して、甘えないで」と。

「老人をこき使って偉そうに。全部甘えていいって言っただろう」
とブツクサ言いながら二階のベランダに洗濯物を干しに行く。