食を通じて、住民同士をつなげられる場を作りたい

「里山transit」を造り、運営している「ミナデイン」の代表 大久保伸隆氏に話を聞いた。

「本を読んで、ユーカリが丘は奇跡のニュータウンだ、と思いました。昭和46年の高度成長期、まだバブル前の時代に、すでに持続可能な環境都市を目指している。タウン内を走るユーカリが丘線には、1978年に開発されたばかりの電気を動力にしたモノレールを採用したり、タウンパトロールに使う巡回カーは二酸化炭素排出量ゼロの電気自動車だったり、自販機の電源まで太陽光パネルにするなど、SDGsが重視される何十年も前から環境に配慮した選択をしている。それに、一軒家を買ったご夫婦が、月日がたって子供が独立し、高齢になって一軒家の維持が難しくなると、それまで住んでいた家を査定額100%で買い取る仕組みまであるから、老後の住み替えの心配も小さくて済む」

ユーカリが丘では、ライフスタイルが変わって、住み替えを希望したとき、査定額100%、仲介手数料0円での買取が可能だという。
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大久保氏は続ける。
「8400戸の区画を、40年以上かけて分譲していくような、未来を見据えた街づくりの中で、どんな場が求められているのか。どんな場なら様々な世代の住民が楽しんで集まってくれるのかと考えた時、祭り、ハレのイメージが浮かびました。そこに地元の食材が持ち寄られ、我々が加工・調理して、住民の方に提供される。ユーカリが丘の食の未来を、住民の方々と楽しみながら一緒に作っていける店にしたいと思いました」

大久保氏が目指したのは、どの世代も自然と集まりたくなる「祭り」のようなハレの場。photo by iStock

大久保氏が目指したのは、赤ちゃんを連れた親子や学生、長く暮らす夫婦や一人暮らしのお年寄りのだれもが気兼ねなく集える、祭りのようなハレの気分を味わえるファミリーレストランだ。

開店から3年、コロナ禍を経て、店は今。

土曜の午後に訪れた里山transit は、昼時を過ぎていたのに、多くの客で賑わっていた。幼児を連れた若いご夫婦、70代の男女、3世代ファミリーであろう老若男女のグループ。ホールには西山さん以下、二人のスタッフが、くるくるとよく働いている。忙しいはずなのに、時折客と楽しそうに会話する様子も見られる。

週末の昼下がりの「里山transit」。ゆったりしたテーブル席、くつろげる掘りごたつ席、スタッフと向かい合うカウンター席がある。

料理は、「ミナデイン」が経営する新橋の「烏森百薬」で人気の唐揚げや餃子もあれば、ハンバーグやミックスフライ、中には「白いオムライス」という珍しいメニューもあった。

「からさき食堂 白いオムライス」900円は、群馬県高崎市の「絶メシ」。オーダー毎にからさき食堂にもお金が入る仕組みだ。
里山ransitでも大人気のランチ。大分県「太閤 分家 禅閣」唐揚げ定食 900円

多世代が一堂に集い、各々が食べたいものを選び、それぞれに楽しむ。大久保氏の言う「祭り」の要素が、「里山transit」には確かに見られた。

◇都心まで1時間のユーカリが丘にあるファミレスが、リピート率75%超の大繁盛店になった理由は、後編「『当たり前をやるだけ』リピーター率75%のファミレスが『クレーム』から得たもの」で詳しくお伝えする。