和洋折衷のメニューを取り揃え、気軽に立ち寄れる「ファミレス」。小さな子供を連れていたり、少し話し込みたいという時も、気兼ねなく利用できるのがファミレスの利点だが、大抵の場合は「近所にあるから」「子供も大丈夫だから」行くことが多いのではないだろうか。

都心から電車で1時間、千葉県ユーカリが丘には、来店した客の8割近くがリピートする大繁盛のファミレスがある。それが2018年12月にオープンした「里山transit」だ。何を期待して人は集まるのだろうか。実際に行ってみると、そこには単なる「飲食店経営」を超えた「仕組み」があった。

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人気のファミレスの背景にある「街開発」

千葉県佐倉市のユーカリが丘。ここは、開発元の山万株式会社が「成長管理型」の長期的な街づくりを目指し、昭和46年から開発している街だ。成長管理型、と聞いてもピンとはこないかもしれないが、通常、不動産会社は開発した分譲住宅を一気に売り切ると、その後の街づくりにはほとんど関与しない。ニュータウンとして開発され、同世代のファミリー層が移り住むと、その後は、年月とともに住民の高齢化が進み、過疎の問題などが生じやすい。東京・多摩ニュータウン、千葉・常盤平団地など、住民の自治によって再生を目指しているが、解決までの道のりはたやすくない。

千葉県ユーカリが丘を走る「山万ユーカリが丘線」は、不動産会社が運営する日本唯一の新交通システム

が、昭和50年前後から売り出されたユーカリが丘では、そうした問題は起きなかった。なぜか。それは山万が、一気に売り切らずに、毎年の分譲件数を200戸程度に抑えてきたからだ。1980年代のバブル期は大きく値が上がり、他社からは「今が売り時だ」「売り切ればいいのに」と言われもしたが、目先の利益より当初の計画を守り抜いた。

総計画戸数8400戸に対し、年間販売数を200戸程度に抑えてきたおかげで、総人口18851人に対し、過去10年間で10歳未満の子供の数が656人増加している。

また、山万は開発当初から分譲の販売が始まった後も、継続して街づくりを進めた。高齢者のために特別養護老人ホームや有料老人ホームを造り、病院経営を始めた。また、自治体よりも早くから保育施設を造り、学校、貸農園など、若い世代にアピールできる、良好な住環境の整備も整えた。結果、新旧住民たちが入り混じり、居住世代の分散化に成功している。

さらに、車に依存せずに、すべての住居から駅までを徒歩圏内にするのに、電気を動力にしたモノレール(レールが1本ではないので、正確にはモノではないが)的な「ユーカリが丘線」を開通させたり、街を24時間365日パトロールをするタウンパトロールも始めた。それとは別に、2009年からは住民の声を聞くための専用の部署も立ち上げ、年3~4回、同じ担当が同じ家に、必要としているものはないか、困っていることはないかと、社員が御用聞きまでやっているという。