2021.12.20
# アメリカ

アメリカの若者が「社会主義化」している? 「格差是正」を熱狂的に叫ぶ若者たち

飯田 一史 プロフィール

Z世代は「年を取れば保守化していく」が当てはまらない?

――若い世代がリベラルだ、左傾化していると言っても、都市部の高等教育を受けた層に限られるのでは? という気もしますが、その点はいかがですか。

瀬能 たしかにコロナ禍ということもあって中西部などへ出向いて若者へ取材することはできていませんし、また、貧しい家庭に生まれ育って高校もドロップアウトしたような若者についても同様です。都市部の声を中心に聞いての印象だということは否定しません。

ただ学歴に関して言うと大学進学率が上がっており、ピュー・リサーチ・センターの2020年調査によると、18 歳~ 21 歳で高校を卒業し、短大を含む大学に入学した人の割合はミレニアル世代 52%、Z世代 57%。人種別にみると両世代でアジア系は7割超が大学進学、2018年調査ではミレニアル世代のヒスパニックの大学進学者は 34%、黒人47%なのが、Z世代になるといずれも5割を超えます。大学レベルの教育を受けている若者がそもそも割合的に多くなっている。

また高校生に目を向けてもモノを言う若者がたくさんいて、気候変動の問題でも学校をストライキしたり街でデモをしたりと大規模にやっています。私が取材した17歳の自称・保守主義者の高校生は「自分が民主党員になることはない」と断りながらも、それでも銃乱射事件が続く状態を放置しているのはよくないし、気候変動は自分たち世代でなんとかしないといけない、医療も普通の先進国程度の国民皆保険はあったほうがいいと思っている、と言っていました。

 

そう考えるとZ世代のかなりの割合は、保守派でさえ従来と比べればリベラル寄りと言っていいだろうと感覚的には思っています。

また、すでに30代後半にさしかかっているミレニアル世代は、2008年のリーマンショックによって就職氷河期を直撃したこともあって格差や社会的不公正に対して敏感で、Z世代以上に筋金入りのリベラルが目立ちます。統計的に言っても気候変動に対してはZ世代よりもミレニアル世代のほうが強い問題意識や関心がある。

一般的には「若いときはリベラルだけれども、年を取ると保守的、現実主義になっていく」と言われますが、ミレニアル世代、Z世代を見ているとそれは考えにくいのではないか。

たとえばアメリカ軍がアフガニスタンから撤収したことについてニューヨークで若い人たちと話すと「一刻も早くやめるべきだった。あんな泥沼の戦争に20年で2兆ドルも費やすくらいなら、アメリカ国内の老朽化している道路や橋にインフラ投資をするなり、ヒューマンインフラである教育や医療、福祉にもっとお金を使うべきだった」という意見が圧倒的多数です。日本人の感覚では「撤退だなんて人道的にけしからん」というほうが主流でしょうが、ニューヨークの「リベラルな若者」の感覚はまったく違います。

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