2021.12.20
# アメリカ

アメリカの若者が「社会主義化」している? 「格差是正」を熱狂的に叫ぶ若者たち

飯田 一史 プロフィール

アメリカの若者が支持する「民主社会主義」とは?

――アメリカの若者が支持する「社会主義」はわれわれがイメージする旧ソ連や中国、北朝鮮やキューバのそれとは違うそうですね。民主主義を前提にして労働者が主役となる「民主社会主義」だと。

瀬能 自称「社会主義者」の若者と議論すると、彼らのイメージにある社会主義とは「生産手段の国有化」「共産党の一党独裁」あるいはマルクス・レーニン主義といったものではありません。彼らには「格差が開き、気候変動に解決策を示せていない現代の資本主義は問題がある」という感覚があって、それを是正するものとしての「社会主義」をクールだと言っている。社会主義と言っても民主主義を犠牲にしたものはありえず、中国やキューバのようになってほしいとは思っていない。

そもそもヨーロッパの多くの国や日本の政権と比べると、アメリカは民主党ですらかなり右寄り、再配分よりも市場経済重視なわけです。それをもう少し左へ、つまり真ん中(中道)に戻したいというイメージと捉えればいいと思います。

[PHOTO]iStock
 

たとえばG7のなかで誰でも国が提供する医療サービス、国民皆保険の恩恵を受けられないのはアメリカだけです。医療サービスには多額の費用が必要で、低所得者にはかなり厳しい。左派で人気の高いバーニー・サンダースやアレクサンドリア・オカシオ=コルテスが訴える「メディケア・フォー・オール」はようするにヨーロッパや日本、カナダ並みの公的な医療制度にアメリカを近づけようという主張で、それが若者を中心に支持を集めている。

2019年3月にハーバード大学ケネディスクール政治研究所が 18 歳~ 29 歳を対象に実施した世論調査の結果によると、政府が提供する医療保険を通じてすべての国民が医療サービスを受けられる「国民皆保険」について 47%が賛成、「医療保険は全国民の権利で、支払い手段がないならば政府が負担すべきだ」については 52%が賛成しています。

また、1980年代にレーガンが保守革命を推し進めた時期には各州で大学に対する補助金が打ち切られ、同時に学生争奪戦に勝つために大学側が多額の設備投資をして環境を充実させたことで学費の高騰が生じ、今では多くの若者が日本円にして数百万円単位の借金をしないと大学に行けません。こういう現状に対しても、自分たちの問題として憤っている。今挙げたケネディスクールの調査では「家計の年収が 12 万5000ドルまでの生徒の公立大学の授業料の無償化や、全世帯を対象にした2年間のコミュニティ・カレッジの授業料無償化」については 51%が賛成と回答しています。

――きれいごとでリベラルな主張をしているというより、ダイバーシティは身の回りにある現実なのでそれを踏まえた対応をしてほしいし、格差是正も自分たちが現に被っているハードさだからどうにかしてほしいという皮膚感覚から来ていると。

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