2021.12.23

公取委も動いた楽天「送料無料化」、対峙した事業者たちの“知られざる800日”

公取委の調査が終了

「個人的には、時間とカネを取られ、退店となってマイナスでした。でも、楽天には私のマイナスなど比べものにならないダメージを与え、出店者の皆さんの役に立った。活動は続けるつもりです」

こう楽天との闘いを振り返るのは、楽天ユニオンの勝又勇輝代表(35)である。楽天が、「楽天市場」で3980円以上の買い物をすると、送料無料とする施策を打ち出したのを受けて、2019年9月26日、一方的な通告に反発するメンバーが集って、ユニオン結成を決めた。

楽天ユニオンの勝又氏/本人提供
 

その日から約800日が経過した12月6日、公正取引委員会は「運営会社の楽天グループに、施策への参加の強要など、店側に不利な独占禁止法違反(優越的地位の乱用)の疑いがある」と、指摘した。

一方、楽天は、公取委に改善策と再発防止策を提示。店舗の意思を尊重、送料無料不参加店への不利な扱いをしないことを明言したこともあって、公取委は違反容疑の改善を確認したうえで、これまで続けてきた独禁法違反の調査を終えることにした。

楽天が避けたのは公取委との対決だったが、公取委に調査を求め、折に触れて記者会見を開くなどして世論を喚起し続けたのは楽天ユニオンである。店舗に圧倒的な力を持つ巨大プラットフォーマー・楽天は、勝又氏らの執念に変更を余儀なくされたといっていい。

ただ代償もあった。勝又氏は、コンサルタント先の店舗が、昨年3月に退店処分を受け、他のプラットフォームでネットショップは続けているものの、最も使い勝手が良かった楽天との取引関係は切れている。

「損得は考えていません。ユニオンのLINEグループには約300店舗が参加していますが、私のニックネームは<楽天市場出店者の味方>なんです。楽天と付き合っていて、規約を勝手に変えて出店者に不利なことを平気でやる楽天が許せなかった。だから、同じような気持ちの人を集め、その味方になるつもりでスタートしました」

イデオロギーではなく、主義主張にも遠い。素朴な正義感と許せない相手への執念というのが相応しい。それが一定の成果を上げたのは確かだが、この種の運動が抱える脆弱さも浮き彫りにした。

勝又氏の800日を振り返ってみよう。

 
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