2021.12.17
# ライフ

「卵子提供」で子どもをもつと決めた“理由と悩み”

実態調査が必要
柘植 あづみ, 小門 穂, 洪 賢秀 プロフィール

妊娠・出産した人の身体の危険性

卵子の提供を受けて体外受精や顕微授精によって妊娠し、流産せずに出産できる確率(成功率)や、妊娠・出産する人の危険性の実態、高額だといわれる費用の妥当性、その他もろもろの社会的・倫理的な問題・課題は、誰も把握していない。国内では、提供精子による人工授精については、日本産科婦人科学会が、実施した医療施設から実施件数や出産数などの報告を受け、公表しているが、卵子提供にはその制度がない。海外では、アメリカではCDCが、台湾では日本の厚生労働省にあたる部署がデータを集計して公表しているが、そのデータさえ公表していない国がある。

 

柘植のアメリカでのインタビュー調査(*注2)では、生まれた子どもや卵子提供者の健康の心配はさることながら、妊娠・出産した人の身体の危険は決して小さいとはいえなかった。高齢出産や、ふたご、三つ子などの多胎妊娠によって、妊娠高血圧腎症、出産時の大量出血、出産後の子宮の部分切除など重い合併症を経験した人が9人中3人いたし、それ以外にも、妊娠糖尿病を発症した人と出産後に腸閉そくのために緊急手術した人もいた。妊娠前や妊娠中の検査をしてもわからない子どもの遺伝病への不安も話された。その一方で、着床前診断や出生前診断をして受精卵や胎児を選ぶことへの抵抗を述べた人たちもいた。

同じ調査では、卵子提供によって生まれた事実を子どもに伝えるのか、子どもが提供者について知りたがったらどうするのか、子どもが反抗期になって「あんたは本当の母親じゃない」と口走ったら自分は受け止められるのか、卵子の提供者が子どもに会いたがったりしないのか、などの悩みが話された。親子関係やプライバシーをめぐる心理的な悩みや葛藤への相談先を求めていた人もいた。

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