2021.12.17
# ライフ

「卵子提供」で子どもをもつと決めた“理由と悩み”

実態調査が必要
柘植 あづみ, 小門 穂, 洪 賢秀 プロフィール

実態がわからないまま増える件数

日本では2020年末に、第三者から提供された卵子による体外受精などで生まれた子の母親は出産した人だと、法的に決める民法の特例が制定された。それでも、卵子の提供者を募り、提供者と提供を受ける人をマッチングするのは、医療技術の提供とは違った手間がかかるために、卵子提供を実施している国内の医療機関は少ない。

無償で厚意の卵子提供をアレンジしているNPO法人OD-NETがあるが、それほど多くが行われているわけではないようだ。また、民間の業者が国内外で卵子提供者の斡旋を行っているとも報道されているが、実態はよくわかっていない。

[PHOTO]iStock
 

その一方で、アメリカ、台湾、タイ、マレーシアなどに、商業ベースの卵子提供を積極的に実施している医療機関や斡旋団体(エージェンシー)があり、卵子提供を目的に渡航する日本人が少なくない。ところが、いったい何人が卵子提供を求めて海外に渡航したのか、何人の子が生まれたのか、安全で適正な医療が行われているのか、卵子提供者の人権や健康は守られているのかなど、まったくわかっていない。

2012年に厚生労働省の科学研究費によって、全国で出産件数の多い病院にアンケート調査をした結果から、年間およそ300人が海外で卵子提供を受けて妊娠・出産しているという推計が報告された(*注1)。その後も、新型コロナ感染症が拡がる前の2020年はじめまでは、海外で卵子提供を受けた人はさらに増えていたと思われる。

卵子提供にはいろいろな問題や課題がある。にもかかわらず、国内外ともに実態がわからず、実施のルールも定まらないままに、件数が増えている。卵子提供の利用者は、子どもができるのなら、高額な費用、多少の健康上の危険は承知の上なのだろうか。それとも、そういったネガティブな情報は伝えられないのだろうか。

SPONSORED