「ネットポルノ依存症」という大問題が、いよいよ世界を揺るがしはじめた…!

あなたの脳も簡単にハックされる

いま、世界では「ネットポルノ依存症」が大きな問題になっている。なぜポルノ中毒に陥る人が増え、そこにはどのようなメカニズムが働いているのか。『裏道を行け ディストピア社会をHACKする』(講談社現代新書)を上梓した作家の橘玲氏が解説する。

インターネットポルノ依存症

binge(ビンジ)は「限度を超えて熱中する(浮かれ騒ぐ)」の俗語で、欧米では若者たちがパーティでbinge drinking(ビンジドリンキング)し、酩酊して性交に及ぶことが社会問題になっている。日本ではあまり知られていないが、インターネットポルノのbinge watching(ビンジウォッチング)もはげしい議論になっている。

一般にポルノの弊害というと女性や子どもへの性暴力につながることが懸念されるが、強迫的なポルノ利用について警鐘を鳴らしつづけた医師のゲーリー・ウィルソン(2021年5月死去)は、思春期以前からポルノ漬けになった若い男性が、ED(勃起不全)や女性との通常の性的関係に深刻な障害を抱える可能性を指摘している*1。

オーストラリアの調査では、2008年には「ポルノを毎日見る」と回答したのは思春期の5・2%だったが、11年になると13%がポルノを毎日のように見ていた。その6年後の17年には、15〜29歳の男性の39%と女性の4%が毎日あるいはしばしばスマートフォンでオンラインポルノを見ていた。この急激な変化(ポルノの普及)の背景に、高速インターネット(4G)の登場があることは間違いない。

17年の同じ調査では、15~29歳の若い男性に限れば100%がポルノを見た経験があり、若い女性でも82%が見たことがあると報告している。はじめてポルノを見た年齢も下がりつづけ、男性の69%と女性の23%はポルノ初体験が13歳以下だった。

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