「背部叩打法」と「ハイムリック法」
さて目の前で喉に餅を詰まらせて、苦しんでいる人がいたらどうしたら良いだろうか。まずは最初に日本医師会が推奨する基本的な方法を紹介したい。
声も出せずに餅が喉に詰まって苦しんでいるということは、食道ではなく、気道を塞いでしまっているということ。食道の詰まりであればすぐに生死に関わることではなく、飲み物で流し込むことでも解消できる。まずはすぐに、当人が正常に息が出来ているかどうか確認してみよう。
気道に物が詰まっている場合には激しく咳き込み、顔が赤紫色になるようなことであれば事は急を要する。そのまま状況が改善しなければ、まもなく意識を失い死に至ることになる。異物除去の応急処置を行わなければならないが、ためらわずに、すぐ救急車を呼んでおこう。
応急処置が功を奏すれば良いが、呼吸が止まり、脳に酸素が送られなくなると数分で心停止が起き、そのまま絶命するか、仮に心拍が戻っても脳に大きなダメージが残ってしまう可能性がある。
その場合はAEDなどで心肺蘇生や心臓マッサージを行う必要があるが、ここではまず異物の除去に関してお伝えしたい。
気道に物を詰まらせた人は、まず喉を両手で抑えるような仕草(チョークサイン)をし始める。

まだ意識がある場合は、まずは「咳をして!」と声をかけることだ。咳は気道からの異物排出に非常に効果的。それでも異物が排出されない場合は、まずうつむき加減にさせて肩甲骨の間を思い切り叩く「背部叩打法(はいぶこうだほう」を試してみる。
それでも排出されない場合は、その人の後ろに回り込み、上腹部で両手を組んで上に突き上げることで異物を押し出す「ハイムリック法」を試みる。
この「背部叩打法」と「ハイムリック法」を交互に繰り返す。

