美波町から牟岐町を経て海陽町へ――。海岸線を往来するうちに出会った人びとは、身近にあるものを守ることで、町を循環させつづけていました。
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たどり着いたのは、循環しつづける町
海陽町に着いてすぐ、フリーサーファーの永原レキさんに誘われてバーベキューに参加した。ジビエとカツオのわら焼きを堪能するところからはじまった今回の旅。毎朝、波の音で目覚め、宿の看板犬に「おはよう」の挨拶。船の上では海から揚げたばかりの牡蠣を剥いてもらい、行く先々で10kgの米と10尾もの伊勢海老、袋いっぱいの炭をわたされた。さらにはハンターと山に入り、ワナにかかったイノシシを捕獲――。すべてこの地域の日常だ。
ここに暮らす人びとを知れば知るほど、“取り組み”や“活動”という言葉が野暮に思えてくる。彼らはただ直感的かつ真摯に、自分にとって身近な存在を大切に守っていた。だからこの地域は、人は、気持ちよく巡っているのだろう。
あいにくの天候で、イメージしていた美しい青い海は見られなかった。しかしだからこそ、そのほかのことがくっきりと見えた。彼らがいるから、この地がある。海と山に囲まれた小さな町々に息づく、大きなパワーに触れる。