「日本没落」のレールは30年前に敷かれていた…「外交文書」にみる歴史的事実

海部総理でさえ、米大統領に意見していた

12月公開の外交文書が明かしたこと

外務省は12月22日、毎年恒例の外交文書の公開を実施した。

1989年から1991年に作成された18ファイル、7319ページが対象で、日本が製造業を中心に圧倒的な国際競争力を誇り、世界第2位の経済大国として輝きを放っていた時代の外交姿勢を浮き彫りにする、興味深い文書に溢れている。

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その後の日本経済や産業構造に大きな影響を与えることになる日米構造協議を巡っては、巨額の対日貿易赤字に苦しむ米国で強硬論を振りかざす議会を抑えようと、当時のブッシュ大統領(肩書はすべて当時)が海部総理に平身低頭で協力を要請する姿が浮き彫りになっている。

一方、湾岸戦争に突き進む中で米国が自衛隊の中東派遣を迫り、自衛隊の海外派兵に道を開いた歴史的な経緯が裏付けられた。

経済優先で天安門事件という中国の激烈な人権抑圧事件を有耶無耶にしてしまった日米のご都合主義も読み取れるし、旧ソ連の衰退と東西ドイツの統一前夜というデタントムードの中で20世紀中に北方領土の返還が実現すると楽観視していた西欧のリーダーの存在も明らかになった。

このほか、湾岸危機の際に“人間の盾”と呼ばれた、日本人213人の奪還を目指した中曽根元総理とイラクのフセイン大統領の丁々発止の記録や、アパルトヘイト(人種隔離政策)の撤廃を訴え続けて4年後に南アフリカの大統領になるマンデラ氏を嘆かせた日本政府の対応を示す文書も含まれている。

 

これらの資料を読むと、今日の世界と日本に続くレールがすでに30年前に敷かれていたことや、歴史の抗し難い流れの中で、日本の国際的な地位が大きく低下したことを実感せずにはいられない。

今回は、今年公開された外交文書が白日の下にさらした興味深い歴史的事実の数々をご紹介しよう。

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