ウクライナをめぐる闘争
次に、比較的最近の出来事を見てみよう。
まず、2014年2月、ウクライナで革命が起こり、親ロシア派のヤヌコビッチ政権が打倒され、親欧米政権が誕生した。これに対し、ロシアは2014年3月、ウクライナからクリミアを奪った(クリミア併合)。
2014年4月、ウクライナ東部のルガンスク州、ドネツク州が独立を宣言する。親欧米ウクライナ新政府は、当然両州の独立を認めず、内戦が勃発した。これは、ウクライナ政府を支援する米国と、ルガンスク、ドネツク(いわゆる東部親ロシア派)を支援するロシアの代理戦争だ。
激しい戦闘が繰り広げられたが、2015年2月、ドイツ、フランス、ロシア、ウクライナによる「ミンスク2停戦合意」が成立した。その後6年間、公式的には停戦状態がつづいている。

さて、ウクライナでは2014年6月、反ロ親欧米のポロシェンコが大統領に就任した。しかし、彼は2019年の選挙で敗れ、現在はゼレンスキーが大統領になっている。
ゼレンスキーは当初、「ロシアとの対話」を主張していた。だが最近は、「プーチンとの対話は無益」であることを悟ったらしい(日本国民には、彼の気持ちがよくわかる)。そして、現在はEUやNATO加盟を目指すようになっている。
既述のように、プーチンは、ウクライナのNATO加盟を「絶対に阻止する」と決意している。だから、NATO加盟を目指すゼレンスキーの動きを、何とかしなければならない。
そんなプーチンに、「行動の口実」を与えたのは、ゼレンスキー自身だった。ウクライナ軍は10月末、同国からの独立を目指す「親ロシア派」に対し、初めてドローン攻撃を行ったのだ。