いまさら聞けない、ウクライナ国境にロシア軍を大集結させる「プーチンの本当の狙い」

ウクライナ侵攻はありうるのか
北野 幸伯 プロフィール

1990年、分断されていた東西ドイツ統一の動きが加速していく。米国は、東ドイツの事実上の宗主国だったソ連に、「東西ドイツ統一を容認するか」打診した。

ゴルバチョフは、一つだけ条件を出した。

(反ソ連軍事同盟である)NATOを、「統一ドイツより東に拡大しないこと」
 
米国は、約束した。

こうして1990年10月、歴史的ドイツ統一が実現したのだ。1991年7月、反米軍事同盟ワルシャワ条約機構は、解散。1991年12月、ソ連は崩壊し、新生ロシアの時代が到来した。

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しかし、米国は、ゴルバチョフとの約束を守らなかった。

1999年、東欧のチェコ、ハンガリー、ポーランドがNATOに加盟。かつて、自国の勢力圏にあったワルシャワ条約機構の同盟国が、「反ロシア軍事同盟」に参加したことは、ロシアに大きな衝撃を与えた。

さらに2004年、スロバキア、ルーマニア、ブルガリア、スロベニアがNATOに加盟。この年にはバルト三国、つまりリトアニア、エストニア、ラトビアも加盟し、すでに大統領になっていたプーチンに巨大な衝撃を与えた。

バルト三国は、かつての「ソ連構成共和国」だ。ロシア人は「ソ連=拡大ロシア」と考える。そのため、バルト三国のNATO加盟は、「かつて自国の一部だった地域が、反ロシア軍事同盟に参加した」と受け止められた。

 

NATOの東方拡大は、まだ終わらなかった。2009年アルバニア、クロアチア、2017年モンテネグロ、2020年北マケドニアが加盟を果たしている。冷戦末期「反ソ連軍事同盟」NATOの加盟国は、16ヵ国だった。それが今や、30ヵ国まで増え、さらに拡大をつづけようとしている。

プーチンは、なぜ怒っているのか? 大きな理由は次の二つだ。

一つ目は、米国が、「NATOを東方に拡大しない」という約束を破ったこと。二つ目は、反ロシア軍事同盟NATOがとどまることなく拡大をつづけていること。

米国は、次に「旧ソ連国」で、ロシアが「勢力圏」と考えるウクライナ、ジョージアをNATOに加盟させようとしている。しかしプーチンは、ロシアの西隣にあるウクライナのNATO加盟を「絶対に阻止する」と決意しているのだ。

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