「ノーベル賞」真鍋淑郎さんが大切にする、「本質」を見抜く“2つの言葉”

温暖化予測研究の第一人者の素顔

今年のノーベル物理学賞は日本出身の真鍋淑郎さんらが受賞しました。真鍋さんは温暖化研究に欠かすことができない「気候シミュレーション」の礎を築いた功績を評価されての受賞でした。

IPCC(気候変動に関する政府間パネル)が2021年8月に発表した第6次報告書は、「人間の活動による影響が地球温暖化をもたらしたことは疑う余地がない」と初めて断定しましたが、この源流にあったのが真鍋さんの研究です。

実は、真鍋さんが初めて計算によって地球温暖化を示したのは50年以上も前のこと。「大気中の二酸化炭素濃度が2倍になると地球の平均気温は2.36℃上昇する」という研究結果を発表しましたが、この数値は最新の研究結果とも近い値です。

コンピューターの性能が今よりはるかに劣る時代に、真鍋さんはどのようにしてこの結果を導き出したのでしょうか。そして、真鍋さんを研究へと突き動かした原動力は何だったのか、ノーベル賞研究の神髄に迫ります。(NHK「サイエンスZERO」取材班

ノーベル物理学賞を受賞した真鍋淑郎さん
 

「気候シミュレーション」は“地球まるごと実験”

真鍋さんのノーベル物理学賞の受賞理由は「地球の物理的な気候モデリング。変動性の定量化。温暖化の信頼に足る予測」です。聞きなれない言葉が並んでいますが、「気候モデリング」というのは、現代の気候研究には欠かせないものとなった「気候モデル」を用いた気候のシミュレーションのことです。

日本の温暖化研究の第一人者で、長年気候シミュレーションを行ってきた国立環境研究所の江守正多さんはこう説明します。

「実際の地球の中では、大気や海、陸、氷が物理法則に従って振る舞い、風が吹いたり、雨が降ったりしています。それらをコンピューターの中で計算するのが気候シミュレーションです。しかも、そこでは現実の地球ではできないような実験ができるというわけです」(江守さん)

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