人生をかけて打ち込めるものがある素晴らしさ

この映画を観て心が浄化されたと語っていた天海さんに、「それは、野生動物の無垢さや、澤江さんの献身のような、美しい心に触れたからでしょうか?」と聞いてみた。すると、「でも、野生動物だって、自分が生き延びるために、他の動物に意地悪したりする。この映画で描かれているのは、ただ純粋無垢なことだけじゃないんですよ」と言って微笑んだ。

「逆に言えば、生きるためになんだってするのが野生動物で、それこそが本来の“生”に対する純粋さなのかもしれないですね。澤江さんが純粋なのも、白鳥と出会えたことが澤江さんにとって生きる喜びをもたらしてくれたからだと思うんです。私がシンプルに『素敵だな』と思うのは、澤江さんが自分の人生を捧げても打ち込めるものを見つけられたことで、だから、この映画の宣伝にあたっても、『ひとりもんはさみしいことじゃないですよ。こんなに追いかけられるものがあるなんてすごいことですよ!』とコメントしました。私も澤江さんと同じ“ひとりもん”ですけど、仕事という人生をかけて打ち込めるものがあるから、さみしくないんです」

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映画の中で澤江さんは、白鳥と心を通わせているように見える。人間の勝手な解釈かもしれないが、でも確かにそう見える。命とのまっすぐな格闘が、一つの映像にまとめられて、不特定多数の人の目に届く――。そういう意味では、映画というのは、感情を循環させていくツールで、役を演じることを生業にしている天海さんもまた、芸術や芸能が生み出す大きな循環の中に存在していることになる。

「毎回、新しい作品に出るたびに、幸せだなって思います。一つの作品が出来上がることも幸せだし、それを皆さんに見ていただけることも幸せ。何より、自分が関わった作品を観て、『元気をもらった』とか『明日も頑張ろう』と思ってくださる人がいるかもしれない。自分の頑張りが、少しでも、誰かのためになっているかもしれない。そう思えることが、“ひとりもん”の私の心を温めてくれて、同時に次の作品に向かう力をくれるんです」

撮影/山本倫子
天海祐希(あまみ・ゆうき)1967年8月8日生まれ。東京都出身。主な主演ドラマに「離婚弁護士」(2004〜05年)「女王の教室」(05〜06年)「BOSS」(09年〜11年)「緊急取締室シリーズ(14年〜現在)トップナイフー天才外科医の条件―」(20年)などがある。映画は、近年では『恋妻家宮本』(17年)『最高の人生の見つけ方』(19年)など。『老後の資金がありません!』は現在公開中。舞台への出演も積極的で、これまでに劇団☆新感線やNODA・MAP、三谷幸喜作・演出の舞台などに出演。2022年4月に上演予定の舞台COCOON PRODUCTION2022『広島ジャンゴ2022』では鈴木亮平とW主演をつとめる。
私は白鳥
北陸・富山で、毎年越冬のために飛来する白鳥たちの美しさの虜になり、ビデオカメラでその姿を記録してきた澤江弘一さんは、翼が折れて飛べなくなり、1羽だけ取り残された白鳥に毎日餌をやり、見守り続けた。富山の猛暑を乗り越えた野生の白鳥はこれまで確認されていなかったが、澤江さんは、あの手この手で、白鳥の命を守っていく。雄大な立山連峰を背景にした、翼の折れた白鳥と“おじさん”が辿った4年間の奇跡の物語。語りに天海祐希、主題歌は石崎ひゅーいの「スワンソング」。
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ヘアメイク/林 智子
スタイリスト/東 知代子(ポストファウンデーション)

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