2021.12.23
# ビジネス

数字を追い続ける組織が「とんでもなく時代遅れ」なのに、今もなくならないワケ

組織で起きる恐ろしい「思考停止」
力を入れて指導しているのに結果が出ない、目標を厳しく伝えているのにやる気になってくれない……。部下や後輩を持つ人なら、心当たりのある悩みだろう。人のモチベーションを上げるには、どうすればいいのだろうか? 著書『だから僕たちは、組織を変えていける』を出版した、起業家・経営学者の斉藤徹氏によれば、「数字重視のマネジメントモデル」から、「人間的でクリエイティブな経営モデル」への転換が必須だというが、なかなか簡単にはいかない事情もある。どういうことか?

「数字」重視から「人」重視へ

2008年5月、リーマンショックが起こる4ヶ月前のこと。米国のハーフムーンベイに経営学の頭脳が集結した。

経営学界からは、ヘンリー・ミンツバーグ、ピーター・センゲ、C.K.プラハラード、ゲイリー・ハメルら、また実業界からは、テリ・ケリー(W・L・ゴア)、ヴィニート・ナイア(HCL)、ジョン・マッキー(ホールフーズ)ら、世界的な権威をもつ経営思想家とビジネスリーダー36名が一堂に会したのだ。

目的は、21世紀のマネジメントを再定義するための道標を打ちだすことだ。会議は熱気を帯び、時に激しい意見の対立もあったが、最終的に3つの総括と、25の課題を提起した。

その総括では、驚くほど強い言葉が使われた。「とんでもなく時代遅れなマネジメントモデル」とは、20世紀初頭にフレデリック・テーラーが開発した「科学的管理法」を指している。

業務を標準化し、管理専門の人材をおき、仕事を計画・統制する。科学的管理法は経営学の原点と呼ばれ、「戦後の復興期」における大量生産を支えた考え方だ。

例えば、1900年ベスレヘム・スチール社による「ショベル作業の研究」事例では、一人あたりの生産性が3.7倍、賃金が63%向上するなど、工場の業務効率化に著しい成果をあげた。1970年以降の不確実な時代においても、コンサルティングファームが主導する戦略的経営に進化し、その影響力はカタチを変えて広まっていった。

 

同会議で非難された「古い経営モデル」とは、人の心を軽視した「数字重視の経営手法」のことだ。このような管理手法は「手続きが決まった作業」や「正解がある問題」には効果的だが、100年前とは経営環境が大きく変わり、仕事も高度化したために、経営における優先度が落ちてきたのだ。

知識社会において、より重要なのは「人間的で、クリエイティブな経営モデル」である。これがこの会議の総括となり、具体的な「25の課題」も提起された。主催したゲイリー・ハメルは、それを六つの視点でサマリーしている。(注 1 志を改める、2 能力を解き放つ、3 再生を促す、4 極限を分散させる、5 調和を追求する、6 発想を変える。先の図参照)

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