宇宙での距離を測る新たな手段!
「マルチメッセンジャー天文学」と呼ばれる新しい天文学は、この「距離はしご」に関しても大きなインパクトをもたらしました。
「マルチメッセンジャー天文学」は、これまで人類が宇宙観測に使っていた可視光や赤外線、X線といった電磁波に、近年、観測可能になった重力波やニュートリノを組み合わせて、宇宙物理学の謎に挑む天文学です。
特に重力波は宇宙での距離を測る強力な方法となります。
重力波の強さは一般相対性理論で正確に計算できますので、重力波の強さを観測することで天体までの距離を推定することができます。つまり、他の「はしご」に頼る必要が全くないのです。
実際に、2017年には「中性子星」の合体現象のマルチメッセンジャー観測が実現し、その天体までの距離が推定されました。
今後、重力波天体のマルチメッセンジャー観測が進むことで、宇宙の距離が正確に測られ、さらに宇宙の膨張率の謎にも迫る研究が大きく進展すると期待されています。

マルチメッセンジャー天文学が捉えた新しい宇宙の姿——宇宙の物質の起源に迫る
マルチメッセンジャー天文学の新鋭研究者として知られる著者が、実際の観測データを紹介しながら、その基礎から天文学の最新研究までを徹底的に解説します!