あの星まで〇光年!? 宇宙の距離はどうやって測る?

宇宙の距離を測る新たな手法とは

地球から10億光年離れたブラックホールを発見! といったニュースを目にすることがあります。でも、そもそもこれだけ離れた天体との距離をどうやったら測ることができるのでしょうか? 

新しい天文学といわれる「マルチメッセンジャー天文学」。その気鋭の天文学者が、この素朴な疑問をわかりやすく解説します。

10億光年先の天体までの距離を測るには?

宇宙にある天体までの距離はどのように測れば良いのでしょうか?

できればその天体まで行って距離を測りたいところですが、人類が探査機を飛ばして直接行ける距離は限られています。

例えば、日本の「はやぶさ」は小惑星でサンプルを採取後、地球に帰ってくるという快挙を成し遂げましたが、その総航行距離は約50億km(5×10⁹km=5×10¹²m)程度です。

現在、人類が飛ばした探査機の中で私たちからもっとも離れたところにいるのがボイジャー衛星で、その航行距離は約200億km(2×10¹⁰km=2×10¹³m)にもなります。太陽圏をまさに脱出したところで、これも素晴らしい快挙ですが、やはり宇宙全体のスケールとしてはまだまだご近所といわざるをえません。

【写真】ボイジャー1号ボイジャー1号 photo by NASA

近くの星までの距離を測るには

近くの星までの距離を測る方法としてもっとも正確なのが、「視差」を使う方法です。

この原理がよく分かる方法があります。腕を前に伸ばして人差し指を立ててみましょう。次に右目を閉じて、左目で人差し指を見てください。背景と人差し指の位置関係を覚えたところで、今度は左目を閉じて右目で人差し指を見てください。そうすると、人差し指の位置が背景に対してずれることが分かります。人差し指をより近くにおくと、このずれはより大きくなります。

これと同じ原理を宇宙でも使うことができます(図1 )。

図1 年周視差

先程の人差し指が隣の星だと思いましょう。地球は太陽の周りを回っていますので、例えば春と秋では地球の位置が変わっています。

春の位置(A)が左目、秋の位置(B)が右目だと考えてみましょう。すると、春と秋では近くにある星の位置が背景にある遠くの星よりもずれて見えます(「年周視差」と呼ばれています)。

太陽と地球の距離は分かっていますので、ずれの大きさ(角度)を測ることができれば、三角測量の原理で星までの距離を推定することができるのです。ただし、この方法は測定できるほど視差が大きい星、すなわち近傍の星にしか使えません。

現在では、銀河系の中のおよそ10,000光年(10²⁰m)程度までの距離の星に対して、年周視差によって正確な距離が測られています。

関連記事