コロナでの大きな変化

コロナ禍には、様々な変化もあった。

「保護者の経済状況も悪化して、最近は、今までいなかった家庭の子も来るようになりました。自営業で、売り上げが減って塾に行かせられないという家庭が多いです。2020年の春は、休校の期間があり、無料塾も場所が借りられず、開けませんでした。

休校の間、生徒に食料や問題集を送りました。オンラインでやらないの?と言って去った家庭もあります。オンラインでは、やはり辛いです。オンライン学習の場合、まずデバイスやインターネット環境に問題があります。中3だけ、2020年の6月から対面で再開しました。

学校でクロームブックを配られても、学校のオンライン授業についていけない子もいました。対面ができない状況なら、無理にオンラインをせずに、エネルギーを貯めておいたほうがいいです。オンラインでは、パフォーマンスが半分以下です。生徒の手元も表情も、分かりません。対面ならば、理解できたかどうか、表情でパッとわかります。集まれれば、他に勝るものがありません。人と人とが密になって、仲良くすることで、モチベーションが上がります。それが無料塾の価値だと思います」

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高校に行けないことがマイナスにならないように…

リアルの世界でも、中学受験の塾通いが過熱している現状について小宮さんはどう見ているのだろうか。

「黒木先生は、課金とか言いつつも、その子に合った学校を探してくれて、困ったことがあれば親子に向き合ってくれます。お金を持っていれば、受験塾に通うのは当然でしょう。サラリーマンが子供に残せるのは、学歴で、それが唯一の財産だと思います」

『二月の勝者』でも描かれるように、受験塾に通う子の家庭も、離婚を考えていたり、親子がすれ違ったり、それぞれに悩みはある。実際に、共働きで親が在宅せず、食事も適当になり、孤立する子もいる。だが、困窮しているとは見なされず、支援を受けられない。地域によっては子供食堂や居場所があるが、盛んなところとそうでないところで格差が大きい。経済的な貧困だけでなく、「つながりの貧困」をどう解消するかも課題だ。

「それでもお金を出せる家庭なら、進学塾や習い事に行けて、代替手段がある。代替手段がない子は、最低限、高校に行けないことが人生のマイナスにならないように、支援しなければなりません」(小宮さん)