公的な支援を受けていない理由

小宮さんは、無料塾の運営に公的な支援は受けていないと話していた。それはなぜなのだろうか。

「行政からの受託事業で、NPOが運営する塾や、企業の塾もあります。でも、無料塾の仲間には、行政からの支援を受けたくない人もいます。塾は、教育のオプションであり、なぜ行政が莫大なお金をかけるのでしょうか。民間の無料塾が、一生懸命やればいい。それより、小中学校の充実に、お金をかけてほしいと思います。

公的な資金が入る場合、教室運営に不満があって、保護者が行政に言うと、塾は生徒に向き合うより、行政のほうを向いてしまいます。運営者も、やりたいようにやれなくなります。行政は平等を重んじるので、特に困っている生徒に手を差し伸べた場合、えこひいきになってしまう。

それに、行政のお金は税金からですが、無料塾は、応援の気持ちからいただいたお金で運営している。勝手に運営して、自然に生徒も教師も集まってくるんです。自分たちで、生徒を応援したい。お金が入ればいいわけではありません」

卒業のお祝いに送るマグカップ。小宮さんは「卒業した先」のことを考えている 写真提供/八王子つばめ塾
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増える仲間「ミニマムスタート」のススメ

仲間も増え、つばめ塾を参考にして、無料塾を始めた人も各地にいるそうだ。

「ホームページを作り込まないで、シンプルにしています。例えば、すごく大きくて資金力もある団体のサイトを、これからやりたい人が見た時、自分には無理だと思ってしまいますよね。つばめ塾のシンプルなサイトを見て、自分にもやれそうと思ったという人は多いです。

私は、お金をかけない、ミニマムスタートを勧めています。今のつばめ塾みたいに、もっとやってあげたいと奨学金やイベントのオプションを付ければ、お金がかかりますが、最低限、会場にする公民館の利用料だけで始められる。

無料塾を立ち上げたいという相談者のほとんどが、『費用はどれぐらいかかるのか』『どうやって費用を集めるのか』と聞いてきます。『費用がかかるだろうから、寄付金や補助金を集めなくては』という概念の方が多いです。無料塾の成功の秘訣は、ミニマムに始めて、寄付や支援が集まり始めたら広げていくことです。費用も、生徒数も、教室数も。無理すると、活動が続けられなくなってしまいます。教科書は各自に持ってきてもらい、ボランティアの先生は、都市部ならやりたい人が必ず集まってきます」