日本テレビ系で毎週土曜日に放送中の中学受験ドラマ『二月の勝者―絶対合格の教室―』。最強最悪のスーパー塾講師・黒木蔵人を演じる柳楽優弥さんのインタビューを公開したところ、反響をいただいた。原作漫画やドラマに登場するエピソードを、リアルに体験した家庭に取材し、紹介してきた。

「親はスポンサー」と公言し、営業に励む塾の校長である黒木先生が、実は困窮家庭の子のために「無料塾」を開いている。東京の無料塾「八王子つばめ塾」理事長の小宮位之さん(43)は、自身も貧困家庭で育った。つばめ塾始まりの物語(前編)に続き、後編では支える人たちの広がりや、無料塾のこれからについて紹介する。さらに「中学受験をする子」と「ご飯が満足に食べられない子」とが、分断されない社会を考える。

八王子つばめ塾をつくった小宮位之さん 写真提供/八王子つばめ塾
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ボランティアにとっても楽しい居場所

11月3日、「無料塾シンポジウム全国大会」を取材した。『二月の勝者』の原作漫画家・高瀬志帆さんが参考にしたという「中野よもぎ塾」や、「八王子つばめ塾」をはじめ、各地の無料塾が参加。「人手が足りない」「本業との兼ね合いに悩む」などの本音を語った。シンポに参加した無料塾の皆さんは、わからないことは教え合い、仲間の挑戦をたたえた。大変と言いながらも、笑顔なのが印象的だった。

小宮さんに聞くと、つばめ塾に集まるボランティアの先生たちも、喜びを持って教えているという。

「先生は、呼びかけたら来てくれます。今は、コロナで人数を減らしていて、受け入れられなくて残念なぐらいです。希望者が多く、生徒2人に先生10人がいる時もありました。

生徒は近所の子が中心だから、対象者が少ない。一方で先生は、18歳ぐらいから60代まで、教師になりたくてもなれなかった人や、教える仕事がしたい、スキルを役立てたい、副業はNGだけどボランティアならしたいという人がいます。無料塾は、彼らのニーズとぴったり合っていて、能力も発揮できます。

ボランティアの大人も、ちょっとしたサークル活動みたいに、いろいろな世代の人と話せて、高校合格という目的に向かって、みんなで成し遂げようという一体感を持てます。変な使命感はなく、楽しくやっていますよ。こんなに面白いことはないです」

教えたいという大人はたくさんいるという 写真提供/八王子つばめ塾