残虐性の中に見えるメッセージ

『イカゲーム』と『地獄が呼んでいる』はテイストは異なるものの、わかりやすい共通点としては「残虐性」がある。よって、人気の陰でやはり「こういう類の作品は苦手だ」という声も聞かれる。しかし、それでもこれらの作品がヒットにつながっている背景には、単なる「恐怖」や「残虐性」だけではない共通したメッセージがストーリーの中に隠されているからだ。

『イカゲーム』では人生の再起をかけて一攫千金を目指すゲームの参加者たちの顔ぶれと背景に、学歴社会や失業問題、脱北者や外国人労働者の問題など、韓国の社会問題がリアルに反映されている。

事業に失敗し、多額の借金を背負い、娘に誕生日プレゼントすら買うことができない主人公/『イカゲーム』より

また、『地獄が呼んでいる』では怯える人々に死の予告がなされ、謎の怪物に惨殺されるという一見すると現実離れした展開ながら、「恐怖」に支配される人間の心理と社会の矛盾を通して「罪」とは、「正義」とは何かという疑問が投げかけてられている。

恐怖に支配さた市民は新興宗教の教祖の言葉に翻弄されていく/『地獄が呼んでいる』より

『地獄が呼んでいる』の作品を監督したヨン・サンホ氏は、2016年の大ヒットホラー映画『新感染 ファイナル・エクスプレス』を手掛けた人物だ。謎のウイルスに感染した者達が人間を襲うゾンビと化す中、高速鉄道で繰り広げられる死闘を描きながらも、やはり乗客達の抱える背景や人間ドラマが丁寧に描かれていた。実際にレビューでは「怖かったが、家族愛や人の絆がしっかり描かれていてよかった」「まさかホラー映画で感動して泣くとは思わなかった」というコメントが見られる。