原書の朗読を耳で聞いた

――運命的ともいえる連載の決定……それから1年近くの準備期間があったと聞きました。

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まずは、源氏物語の現代語訳を読み込みました。中でも作家・円地文子の現代語訳は、情念や愛憎さえも、冷静に客観的に描いていて好きでしたね。ほかにも谷崎潤一郎訳や、田辺聖子の解説、対訳本などあらゆる書籍を読んだのです。
読み比べると、訳者本人の登場人物への印象が現代語訳に出ていることがわかるんですよ。“推し”のキャラには、訳文への熱量も違ってきますしね。

参考になったのは、女性評論家・村山リウが朗読したカセットテープ(全205巻)です。耳から聞く物語は、文字とはまた異なります。平安時代の一時期、『源氏物語』が口伝文学だったことを気付かせてくれました。

その後、物語をわかりやすいように時系列に並べたり、内容を整理したりして、現代の私たちにもスムーズに読めるように整えて行ったのです。
これはとても大変でしたが、平安時代に『源氏物語』がブームになっていた当時の少女・菅原孝標女がその『更級日記』に「続きが早く読みたい!」(続きの見まほしくおぼゆれど)と書き残していたことが心にあります。私も、現代の読者が続きを楽しみにする作品にしたかったのです。

◇しかし、『源氏物語』の時代背景は当然写真で残っているわけもない。果たしてどのようにして「今の物語」のように生み出したのだろうか。そこにはまるで大学の研究室のような努力があった。後編「大学の研究室?大和和紀が『源氏物語』から『あさきゆめみし』生んだ「京都通い」で詳しくお届けする。

大和和紀『あさきゆめみし』新装版 全7巻
大和和紀画業55周年記念&Kiss創刊30周年記念企画
大和版「源氏物語」、の新装版全7巻で刊行。

第1巻 山岸涼子氏インタビュー収録 12月13日発売
第2巻 よしながふみ氏インタビュー収録 12月13日発売
第3巻 角田光代氏解説収録 1月13日発売予定
第4巻 三浦しをん氏解説収録 1月13日発売予定
第5巻 青池保子氏インタビュー収録 2月10日発売予定
第6巻 蜷川実花氏インタビュー収録 2月10日発売予定
第7巻 大和和紀氏自著解説収録 2月10日発売予定