2021.12.16
# 科学

“銀河を支配”するのは効率が悪すぎる!? ダース・ベイダーが抱える意外な「大問題」

かつて英国ケンブリッジ大学応用数学・理論物理学科理論宇宙論センターにてスティーヴン・ホーキング博士に師事し、現在、筑波大学計算科学研究センター研究員を務める物理学者の高水裕一が、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』『TENET テネット』『ターミネーター』『ゼロ・グラビティ』『オデッセイ』『インターステラ―』『スター・ウォーズ』『メッセージ』といったSF映画を考察した『物理学者、SF映画にハマる』(光文社新書)を刊行した。

宇宙論を専門にする人間が、SFを入口に発想を広げていくと、どんな世界が見えてくるのか? 高水氏に訊いた。

[PHOTO]iStock
 

『インターステラー』は専門家のあいだでも盛り上がる映画

――高水さんにとってSFへの興味と物理学への関心はどちらが先だったのでしょうか。

高水 『バック・トゥ・ザ・フューチャー』を青年時代に観たことのほうが先だったと思います。物理学に関しては、相対性理論では「光に近い速度になると時間が遅くなる」という「日常と違う世界に対する興味」から入っていったので、自分のなかでは両者の距離は遠くないんです。

――海外では科学者が『インターステラー』のようなSF映画の監修に入ったり、SF小説を書いたりするケースはわりとありますよね。

高水 ただ監修はしていても作中の設定はシナリオや演出のおもしろさが優先されて科学的な説明の正しさは二の次、三の次になるので、根本的には学問とフィクションでは相容れない部分があります。ですから私のスタンスとしては、SFで描かれているものはそれとして、真っ向から否定する立場ではなく、「科学的にはこう考えます」と示したり、SF的なテーマを切り口に具体的な考察を進めてみるということを心がけました。

――高水さんから見て「これはちゃんとしている」とか「理屈がおもしろい」と思った作品は?

高水 単純に「シナリオがよくできている」という意味では『デジャヴ』や『12モンキーズ』ですね。『デジャヴ』は「最初に出てきている人間は、何回目のタイムトラベラーなんだ?」みたいに考えながら見返すとおもしろい。

研究者目線で言えば、天文系だと『インターステラー』は盛りだくさんのテーマを入れつつ、同業者も楽しめる出来になっています。たとえばブラックホールの映像が一瞬出るんですが、あの一瞬の映像のために本職の物理学者が論文まで書いているという熱量たるやすごい。2019年にブラックホールの撮影が初めて成功して公開されましたが、講義や講演などでも『インターステラー』での描写と現実の画像がどれだけ近いか比べたりと、話が広がる点も楽しいですね。

SPONSORED