カツオを盗み続けた男たちが次々に逮捕…大漁港・焼津が揺れた“大事件”のヤバい実態

カツオを盗んだ男たちの挽歌
週刊現代 プロフィール

その一方で、本誌記者が焼津市内を歩き回っても、ほとんどの水産業者や漁師、海産物店主が事件について口を閉ざした。

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「焼津には『一船一家主義』という言葉があります。一家の主が船を一艘持つと、そこに兄弟が相乗りし、親類縁者も加わる。

周りに魚屋や食堂ができる。加工品の商売も始まる。水揚げした魚は関東にも関西にも焼津インターチェンジから東名高速ですぐに運べます。だから、地元の運送会社だって羽振りが良い。

それらが一蓮托生で手を取り合って、ずっと『焼津』のブランドで商売してきました。要は、巨大なファミリービジネスなんです。

だから、仲間内でトラブルが起きても、守り合うのが当たり前。窃盗事件のことは表立っては誰も話せません。

いまはコロナ禍の長期化によって、街の観光業は苦戦が続いています。さらに船の燃料代も高騰している。これ以上、マイナスイメージが『焼津』につくことはなんとしても避けたい」(焼津漁協関係者)

 

だから、何事もなかったように過ごしているのだろうか。緊急事態宣言が明け、居酒屋やスナックは常連で盛況だったが、カツオ盗難を話題にしている客は見つからない。不気味なほどだ。

「ヨソ者に話すことは何もない。帰れ、帰れ」

本誌記者は地元の漁業関係者に何度もそう言われた。皆、嵐が過ぎ去るのをじっと待っている。

本誌は主犯とされ、起訴後に保釈された吉田被告の自宅を訪ねた。真新しい一軒家のインターフォンを鳴らすと本人が応対したが、

「お話しできることはありません」

と答えるのみだった。

吉田被告の親しい知人は本誌にこう漏らす。

「前任者からの引き継ぎがあって、このタイミングでたまたま担当者だっただけで、人生を潰してしまった。家のローンもあるのに、もう彼は漁業関係の仕事に就くことはできないと思う。悪いことをしたのは確かだけど、不憫でならないよ」

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