アップルの年収は7400万円超!? 米企業の強烈な稼ぐ力とその源泉

ファブレス化が驚異的な生産性を生む
野口 悠紀雄 プロフィール

アップルと東芝はどこが違ったのか?

ビジネスモデルの選択は、企業のあり方そのものに、極めて大きな影響を与える。ここでは、アップルと東芝を比較することにしよう。

20年ほど前、アップルも東芝も、同じようにPC(パソコン)を作っていた。東芝は、それに加え、テレビなどの家電製品も作り、さらに発電機などの重電機器も作る巨大な総合電機メーカーであった。それに対してアップルは、マニアックな人たちしか興味を持たない小さな企業だった。

ところが、いまや、一方は世界一の時価総額を誇り、他方は3分割に追い込まれている。

日本のように企業間の人材流動性が低い社会では、企業がこうした状況に追い込まれると、従業員は大きな危機に晒される。賃金どころか、そもそも働く機会が失われる危険がある。

なぜこのようなことになったのか?

まず、従業員1人あたり売上を見ると、東芝はアップルの10分の1しかない。東芝はさまざまな製品を作っているが、高い価値のものがない。それに対してアップルは、他のメーカーが作れない製品を、集中して作っている。

そして、売上のうちの付加価値の比率が、東芝はアップルの半分程度でしかない。さらに配当にあてる比率が低い(表には示していない)。だから、株価が上がらない、だから、株主から不満がでた。

その結果、従業員数はほぼ同じなのに、東芝の時価総額は174億ドル。アップルの2.6兆ドルとの間に、150倍近くの差がついてしまった。

 

賃金を上げるには、生産性向上が不可欠

賃金を上げるためには、その原資が必要だ。それは、従業員1人当たりの付加価値(生産性)だ。賃金を上げるには、生産性を引上げるしか、解決策はない。

変化する世界のなかで、旧来の事業を続けていれば、生産性は向上しない。日本の賃金が上がらないのは、当然のことなのだ。

そして、将来にわたって日本の労働者を守るには、時代の変化に応じて企業のビジネスモデルを変えていくことが必要だ。それを怠る企業は、淘汰されてしまう。これも当然のことだ。

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