アップルの年収は7400万円超!? 米企業の強烈な稼ぐ力とその源泉

ファブレス化が驚異的な生産性を生む
野口 悠紀雄 プロフィール

アメリカの生産性が高いのはファブレス化したから

なぜアップルの従業員1人あたり付加価値は巨額なのか?

まず、1人当たりの売上高が大きい。アップルは237万ドルで、トヨタの80万ドル、サムスンの71万ドルの3倍程度になっている。

こうなるのは、スマートフォンという高額商品を、世界のきわめて多数の人に販売しているからだ。しかも、それは、他の企業が容易に追随できないものだ。

それだけではない。売上に対する付加価値の比率も高い。アップルは41.8%だ。これは、トヨタ15.2%の倍以上だ(サムスンは34.9%)。このために、従業員1人当たりの付加価値が、上で見たようにトヨタの約8倍という「とてつもない」額になってしまうのである。

アップルの場合、売上に対する付加価値の比率が高いのは、原材料費などの比率が極めて低いからだ。こうなるのは、アップルは製造を行なっておらず、設計と販売に特化しているからだ。こうした企業を「ファブレス」(工場なし)という。

ところで、ファブレスは、アップルに限ったことではない。半導体のNVIDIAも、設計に特化したファブレス企業だ。また、テスラの付加価値は、ハードウエアよりはソフトウエアで生じている。アメリカの製造業は、モノづくりから情報に向けて大きくシフトしているのだ。

日本や韓国には、こうした企業はあまり現れていない。国全体の平均賃金において、日本や韓国がアメリカの6割程度しかならないのは、産業構造のこのような違いによる。

 

なお、日本の賃金が低いのには、以上で述べたことの他に、もう一つの理由がある。それは為替レートだ。日本円は、いま購買力平価より円安になりすぎているために、日本の賃金が低く評価されているのだ。これも重要な問題だが、ここでは触れない。

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