迷走するイージス・アショア代替案…「壮大なムダとなる可能性」が指摘されるワケ

冷静に代替案を再考すべき
伊藤 博敏 プロフィール

経緯は…?

陸上イージスの導入が決まったのは、北朝鮮が弾道ミサイルの発射を繰り返していた2017年末のことだった。発射された弾道ミサイルの対抗策は、イージス艦を日本海に張り付かせ、乗務員が日夜、監視することだが、艦船も乗務員も疲弊が激しい。そこで、24時間365日、切れ目なく監視する陸上イージス2基の導入となった。

18年7月、ロッキード・マーチン社製のSPY-7がレーダーに選定された。ボタンの掛け違いはこのあたりから始まった、といわれている。米政府が品質を保証するFMS契約になっていないからだ。SPY-7は、DCS(一般輸入)での購入となった。

しかも、米海軍は24年以降、レイセオン社製SPY-6を配備することになっており、相互運用性が限定され、今後、必須となるCEC(共同交戦能力)も現状では活用できないなどの理由から、レーダー選定の異議申し立てが相次いだが、防衛省はSPY-7の優位性を強調した。

陸上イージスの取得費は、2基1600億円からスタートしたものの、しだいに膨らみ30年間の維持・運用費を含めて4459億円と公表され、さらに迎撃ミサイルの取得費、建屋などの整備費も加え、6000億円を超えるのは確実とされた。

 

だが、計画は、20年6月、中断する。打ち上げの際に切り離す推進装置(ブースター)が、住宅地に落ちる可能性があり、そのリスクを封じ、地元住民の不信感を払拭するためには修正が必要で、それには12年の歳月と2000億円の予算がかかることが判明、河野太郎防衛相(当時)が断念を表明した。そして陸上イージスの代替案が模索され、イージス・システム搭載艦2隻となった。

ここで、すべてを見直せばよかったが、防衛省は既契約にこだわった。既に、約1700億円を米側と契約しており、財務省は解約による損金発生を容認する姿勢だったが、防衛省は既契約装備品で代替案を組み立てた。

防衛省は、イージス・システム搭載艦を最新イージス護衛艦「まや」型をベースにする方針を固めた。だが、これでは地上用レーダーの搭載の場合、艦を大型化しなければならず、2500億円以上と想定されている。2隻で5000億円以上。さらに運用経費などを足した総経費は2隻で1兆円以上となる。

艦船はまだ定まっておらず、双胴船、自走式、曳航式の洋上プラットフォームなども検討されている。仕様を決め設計に入り、実際の建造に5年かかり、さらに要員訓練、システム実証試験などに数年を要し、結果、イージス・システム配備計画(23年度)から10年は遅れるのが確実だ。

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