フェイスブックの社名変更、なぜ「あのタイミング」だったのか…?

背後に見えるザッカーバーグの無邪気さ
池田 純一 プロフィール

特にジャックイン(没入)中のユーザーたちのリアルな姿も映していたところは興味深い。メタバース内での自分の動きをリアルに感じるためには五感をメタバース内でのインタラクションに同調させる必要があり、そのために『レディ・プレイヤー1』の中では、データグローブだけでなく全身を専用スーツで包み、ランニングマシンのような動く床が用意されていた。はてはアバターが飛ばされたときの状態をリアルに感じるためにわざわざワイヤーまでつけられていた。そのリアルな様子だけを見ると相当滑稽であり、実際、映画では笑いを誘う場面でもあった。

かようにメタバースの実現には大掛かりな仕掛けが必要であり、デジタル世界だけを作り込めば済むわけではない。もちろんSFの中には成功までの開発事情をすっ飛ばして、たとえば脳内の五感を司る箇所を何らかの手段で刺激することで、メタバース内の動きをリアルで再演させることを回避しているものもある。

たとえば映画の『アバター』では、(物理的実体のある)青い巨人であるアバターを脳で操作することで稼働させていた。アバターの由来は、インド神話における、神が人間の世界に現れる時に使う姿、すなわち化身のことだが、映画『アバター』で起こっていたのは、まさに化身として青い巨人の身体を動かすことであった。

青い巨人のポスターを背にした『アバター』のジェームズ・キャメロン監督[Photo by gettyimages]
 

あるいは、海外でも人気のあるラノベ『ソードアート・オンライン』であれば、メタバース(作中ではゲーム空間)において3DCGのアバターを脳内信号で操作している。その間、リアルではヘッドギアを装着した上でベッドの上に横たわっているのが普通だ。イメージとしては寝ながら夢を見ているようなものだ。この点は『アバター』も同じで、どちらも身体的には楽な姿勢をとりながら、専用のヘッドギアを使って意識をもう一つの身体=アバターに移していた。

このようにSFの世界では、メタバース内での環境からの刺激を直接、脳に与えている。しかし、そのようなBMI(ブレイン・マシン・インターフェイス)が開発されるには解決すべき技術的課題が多い。仮に技術的に可能になったとしても、民生品として販売されるまでには経済性や安全性の問題もクリアしなければならない。乗り越えるべき課題は多い。

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