フェイスブックの社名変更、なぜ「あのタイミング」だったのか…?

背後に見えるザッカーバーグの無邪気さ
池田 純一 プロフィール

メタバース企業を名乗ることで、いわゆるメディア企業に対する公的制約が及ばないようにする。少なくともそうした縛りは、子会社としてのFacebookやInstagramだけに留め、今後はなにか「メディア的」な問題が生じたとしても、それぞれのCEOに対処させる。自分はあくまでもメタバースの実現に集中する。メタバースとは、Alphabet(Googleの親会社)における「ムーンショット」のような言葉だ。創業者の抱く遠大な夢の代名詞だ。

皮肉なことに、メタバースの生みの親であるニール・スティーブンスンの最近の興味は、最新作の“Termination Shock”あるいは『七人のイヴ』に見られるようにジオエンジニアリングや宇宙開発による物理的な新世界の建設に移っている。いずれも現代社会において科学技術に期待される課題と直結したテーマである。

SFとして思索を巡らす先を物理的世界に向かわせるだけの変化がこの30年あまりの間に生じている。対してメタバースとはあくまでも「かつて夢見た世界」であり、一種のノスタルジアである。90年代リバイバルとしてのファンタスマゴリアだ。

『スノウ・クラッシュ』を著したアメリカの小説家ニール・スティーブンスン[Photo by gettyimages]
 

「プラットフォームズ」が持つ意味

むしろ新社名で注目すべきは、プラットフォームズという部分だろう。「プラットフォームズ」という言葉が与える印象は、会社名として使われる「インダストリーズ(Industries)」に近い。つまり「○○産業」や「××工業」にあたる「インダストリーズ」である。

「産業/工業基盤」となるものなら、当社にご用命ください、なんでも取り揃えますよ、というニュアンス。いつでもそういえるよう、傘下に産業/工業基盤となる電力や金属、化学や産業機械など、各種商材を扱う企業群を抱えた総合企業のイメージだ。

そうした産業コングロマリットの情報時代版がインダストリーズならぬプラットフォームズである。その上でMeta Platforms, Inc.の総帥は、Facebookの頃から変わらず過半数の株式をおさえたザッカーバーグなのだから、Meta Platforms, Inc.とは要するにZuckerberg Platforms, Inc.であり、コック兄弟が統べるKoch Industries, Inc.のデジタル版である。

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