2021.12.09
# 科学史

12月9日 英の科学史家ジョセフ・ニーダム誕生(1900年)

サイエンス365days

"サイエンス365days" は、あの科学者が生まれた、あの現象が発見された、など科学に関する歴史的な出来事を紹介するコーナーです。

1900年の12月9日、中国科学史の再評価で名高い、科学史家のジョセフ・ニーダム(Joseph Needham, 1900-1995)が誕生しました。

ロンドンの外科医の家庭に生まれたニーダムはイギリスの名門・ケンブリッジ大学に入学を果たすと、そこで1929年のノーベル医学・生理学賞を「成長を促進するビタミンの発見」で受賞したフレデリック・ホプキンズのもとで生理学を学び、のちに同大学で講師として活躍しました。

その後はスタンフォード大学やオックスフォード大学などの名だたる大学で教鞭をとっています。

彼は発生生化学の先駆者として知られており、全3巻に渡る著書『化学的発生学(Chemical embryology)』は名著として知られています。

このように自分でも科学的な業績をあげる中で、ニーダムは徐々にその関心を中国へと移していきました。

1942年には中英科学協力機関の首脳となったほかイギリス大使館付きの科学顧問として中国へと赴任し、イギリスと中国の架け橋となりました。そんな中で彼が行ったのが中国科学史の再評価でした。

ジョセフ・ニーダム(Joseph Needham, 1900-1995) photo by GettyImages

「科学」というと西洋的なものに注目がいきがちですが、古くは中国文明(黄河・長江文明)、メソポタミア文明、エジプト文明、インダス文明が四大文明と呼ばれていたように、中国も西洋に負けず劣らずの文明を築いていました。むしろ西暦1500年ごろまでは、中国の方が科学力が上であったという意見もあります。

しかし、16世紀ごろから西洋は近代科学を作り上げ、これによって急速に科学力・技術力を向上させたという歴史があります。

もちろん、近代以前の中国科学と呼ばれるものを現代科学と照らし合わせた場合、現象に間違った説明がなされていることが多いのはいうまでもありません。しかし、「現代と比べてもこの分野は比較的優れている」「なぜ西洋にだけ近代科学が発生したのか」といった科学的・歴史的に注目すべき箇所も多くあるのです。

ニーダムはそんな中国科学史を再評価し、大著『中国の科学と文明(Science and Civilisation in China)』を執筆して世に発表しました。これによって西洋でも中国科学史の認識が改められました。

彼は第二次世界大戦後にユネスコの初代科学部長を務めるなど世界の科学に貢献したほか、教授職の引退後は東アジア科学史研究所を創設し、その所長に就任しています。

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