2021.12.11
# Amazon

インフレに転換すれば、ニッポンの「物流企業」が復権し、「e-コマース」を支配する可能性があるワケ

インフレが直撃する分野

インフレがこれからの世の中を大きく変えていくであろうことは、11月30日公開「習近平ですら吹っ飛ぶインフレの脅威…2022年、世界『大乱』に立ち向かう7つのポイント」などで詳しく述べてきた。

その影響は世界中の幅広い分野に及ぶが、「物流」も直撃を受ける産業の一つである。

by Gettyimages

「物流」というのは身近なようで、意外に良く知られていない産業ではないだろうか?確かに、宅配便を送ったり受け取ったりしたことがない読者はいないであろう。しかし、翌日正確な時間帯に品物を届けるための裏側のシステムや、店舗に並ぶ無数の商品がどのようなルートで運ばれているかなどについてはどうであろうか。

例えば、アマゾンのビジネスの根幹はインターネットではなく物流だ。他のビッグテックと比べてアマゾンが異質なのは、物流という「現実世界」と密接にかかわったビジネスモデルであるからだ。当然、現実世界での「作業」を避けられないのだが、その象徴と言えるのが、配送会社との関係である。

佐川急便、ヤマト運輸、さらには丸和運輸機関(桃太郎便)などの物流会社がアマゾンの配送を担ってきたが、特に前2社とアマゾンとの「(「取引条件をめぐる)闘い」は有名だ。

確かにアマゾンはこれらの物流会社にとって大口顧客であるが、アマゾンにとっても、これらの物流会社のサービスは必要不可欠である。

それはアマゾン自身が一番よくわかっており、「自社配送」の構築にこだわるのもそのためだ。しかし、それは口で言うほど簡単ではない。さらに、「高品質の物流」を維持するためには「高品質の(工業)製品」を製造するのと同じ文化的基盤が必要であり、「IT企業」であるアマゾンにそれがほぼ存在しないこともハンディキャップである。

これまでのデフレ時代には、11月8日公開「『プライベートブランド』がこれから『衰退する』と断言できるワケ」で述べたように、最終消費者に近い川下が「権力」を握っていた。ECでいえば、アマゾンのような「サイト」である。しかし、インフレ時代には川上に「権力」が移動する。

11月1日公開「日本の『製造業』、じつはこれから『黄金時代』がやってくる…!」、11月17日公開「『GAFA没落』の可能性のウラで、日本の『製造業』に超期待できるワケ」で述べた製造業だけではない。

 

これまでECサイト、小売店などの川下に牛耳られていた「物流業」も復権する。この権力構造の転換により、いままでアマゾンなどのEC企業が物流企業を下請け同然に使っていた構図が崩れ、物流企業がEC企業を傘下におさめていくことも十分考えられる。

例えばヤマト運輸や佐川急便が、ECサイトを次々と買収して、物流を握っている強みで業界を席巻するかもしれないということである。アマゾンが物流を外注して成り立つのであれば、物流企業がECサイトを外注することは不自然ではない。

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