なぜ「1日4時間労働」は実現しないのか…世界を覆う「クソどうでもいい仕事」という病

ブルシット・ジョブの「謎」に迫る
酒井 隆史 プロフィール

『ブルシット・ジョブ』の論点

さて、最初にかんたんに『ブルシット・ジョブ』の内容をまとめてみました。このラフなまとめのうちにも、この本をおおまかに構成する四つの論点がひそんでいます。

(1)「ブルシット・ジョブ」とはなにか?どんな種類があるのか?
(2)「ブルシット・ジョブ」に就いている人たちはどのような精神的状況にあるのか?
(3)「ブルシット・ジョブ」がどうして、こんなに蔓延しているのか?
(4)どうしてそのような状況が気がつかれないまま、放置されているのか?
 

作者のグレーバーは、ブルシット・ジョブ現象に三つの次元からアプローチするといっています。(1)はまず土台となる論点であるとして、おおまかに、(2)が【1】に、(3)が【2】に、(4)が【3】に対応すると考えておいてください。

【1】個人的な次元。なぜ人々はBSJをやることに同意し、それに耐えているのか?
【2】社会的・経済的次元。BSJの増殖をもたらしている大きな諸力とはどのようなものか?
【3】文化的・政治的次元。なぜ経済のブルシット化が社会問題とみなされないのか?なぜだれもそれに対応しようとしていないのか?

この講義は必ずしも『ブルシット・ジョブ』を読んだ読者を念頭においているわけではありません。もちろん、いったん読んでから、あるいは、手元において対照させながら読むと理解が深まることはいうまでもありません。でも、まだ読んでいないが内容については気になっている、これから読もうとおもっている、あるいはとても読めそうにないがなにをいっているか知りたい、といった読者にも、なるべくわかるよう、要するに、『ブルシット・ジョブ』を読まなくてもかなりの程度は理解できるように構成したつもりです。

『ブルシット・ジョブの謎 クソどうでもいい仕事はなぜ増えるか』では、ブルシット・ジョブの全体像を描こうと試み、論点を詳しく掘り下げています。仕事とは何か? 働くとは何か? 資本主義とは何か? 今、働くすべての人が「クソどうでもいい仕事」と向き合う必要があるのではないでしょうか。

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