治療薬のスタイルも徐々に見え始めてきた!

:先生のお話によると2年後には、みなさんのもとにお薬が渡る可能性もあるということですよね!

宮崎:うですね、かなり現実感は増してきましたね。先日も某製薬会社の方々と打ち合わせを細かくしてまいりまして。

:えっ!? もうそういう段階に入っているんですね!

宮崎:はい。今まで作ってきたAIMより、猫により合ったものを作ろうと。そういった工夫も重ねていくことになります。

:AIM(猫の腎臓病治療薬)は「飲み薬」のようなものになるんですか?

宮崎:いえ、AIMはそもそもタンパク質ですので、口から入ってしまうとどうしても胃や腸で分解されてしまいます。ですので「注射」になると思います。最初は確実に効果が期待できる「静脈注射」で開発すると思いますが、猫ちゃんは静脈注射を嫌がりますので、将来的には「皮下注射」もできるような使用法を検討したいと思っています。猫の腎臓病の補助的治療でも、ご自宅で首などの皮下から飼い主さんが皮下点滴をされるケースもありますよね、あのような形にできればいいなと思っています。

ですが、なるべく早くみなさんのお手元に届けるために、まずは静脈注射薬として世に出して、その後で、使用法についても工夫、改良を重ねていくと方針にしたいと考えています。

:実際には、腎臓病になった時点での投与ということになるんでしょうか?

宮崎:腎臓病末期の猫ちゃんの症状は本当につらくてかわいそうです。そういった意味では今回の薬は、腎臓が悪くなってしまった猫にもちゃんと効いて、つらい状態に陥らないようにするための薬にしたいと思っています。

:腎臓病になりにくくなるという予防薬というスタンスではないのですね?

宮崎:猫の腎臓病というのは、AIMが働かないという先天的なものですから、いうなれば生まれてすぐから少しずつ腎臓病は始まっているともいます。それが年齢を重ね10数年経って、ひどい状態になったときに明らかな症状として出てくるわけです。ですから、若いうちから定期的に打つことで、基本的には予防薬としても使えて、腎臓が悪くならないようにもできるのではないかと思っています。

:そうなってほしいですねー!

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宮崎:腎臓病を患っていても、人間も同じなのですが、結構ギリギリまで元気なんですよね。最後どうしようもなくなったときに、一気に状態が悪くなります。なので、その前に止めてあげることができればと思いますね。

これはまだ研究中の段階ですが、AIMの投与を続けていくことで、悪くなって働かなくなってしまっている腎臓の部分が少しずつ良くなっていく可能性も考えられます。いわゆる腎臓組織の再生を亢進させる効果ですね。世に出した後に、腎臓病の色々なステージにある猫ちゃんに積極的に使っていただき、そこからまたデータをいただいて、今まで分かっていなかったAIMの新しいも分かってくるのではないかと思います。

:宮崎先生が、「腎臓病治療」に行きついたのはどうしてなのでしょうか?

宮崎:腎臓病になると、透析を受けなくてはならない場合もあります。透析をすると週に何回か、1日何時間もて施術を受けなくてはいけないので、お仕事とか旅行とかいろんなことを自由にできないので、我慢したり、あきらめたりする方も多いのです。これはとてもつらいことだと思います。しかも、猫の場合は透析もなかなかできない。ですので、腎臓病が、本当なら透析が必要なフェイズになってしまうと、ものすごくかわいそうな状態になってしまう。そんな猫を一匹でも救えれば、それに越したことはないと思うのです。

:もう神様のような方です、宮崎先生は!

宮崎:いえいえ、そんなことはないです。命はやっぱり人も猫も同じですから。

撮影/中村通孝