提供:生活クラブ事業連合生活協同組合連合会

自然と共生し、食べ物、エネルギー、福祉をできる限り自給・循環させるサステナブルな生き方を――。そんな〈生活クラブ〉が2004年から取り組んでいる循環型農業が、全国の持続可能な生産のモデルとなっています。地域内資源の循環や環境保全、食料自給率の向上を実現するというサステナブルな仕組みとは。

持続性が高い理想的な農業体系を実現

循環型農業という考え方がある。畜産や農業で出る廃棄物を肥料に利用し、資源を循環させることで持続可能な農業を成り立たせる取り組みのことだ。ひと昔前は当たり前だった仕組みではあるが、近代化が進むにつれて生産性向上のために農耕と畜産は分離し、化学肥料や農薬の使用が一般的となった。それによって土壌が劣化し、地力の低下が危ぶまれている今、農業が本来持っている自然循環機能を生かした、持続可能な生産活動の推進が求められている。そこで改めて注目されているのが耕畜連携であり、2004年からそれをいち早く実践しているのが〈生活クラブ〉だ。

〈生活クラブ〉は営利を目的としない事業を行う「生協」の一つであり、組合員の出資と利用、運営によって成り立っている。組合員一人一人の注文を、〈生活クラブ〉がまとめて生産者へ発注することで、生産者は計画的に生産・出荷ができ、製品の保管や物流にかかるコストなども抑えられる。さらに、継続的に決まった数量を食べるという生産者との約束によって、毎週/隔週/月1回の配達サイクルを選んで定期的に届くシステムが「よやくらぶ」。

〈生活クラブ〉は営利を目的としない「生活協同組合」の一つであり、組合員の出資と利用、運営によって成り立っている。「生活することは消費すること」ととらえており、「どんな未来にしたいか、次世代へ何を手渡したいか」を考え、なにをどのように消費するかという選択を組合員自身が決断してきた。だからこそ、生産者同士のつながりに組合員も参画し、支え合う仕組みを作って、課題解決に立ち向かっているのだ。山形県庄内地方で取り組んでいる資源循環型農業は、その取り組みの一つである。

飼料用米を生産する田んぼ。水田には多様な生き物を育んだり、暑さを和らげたりと多面的な機能がある。飼料用米は食用米に比べて低価格なので、多収穫とコスト削減が課題。

始まりは30年ほど前。提携生産者である〈平田牧場〉は、豚の飼料の海外依存を解決したいという想いから米で豚を育てる方法を模索していた。一般的に、豚の飼料はほとんどが輸入したトウモロコシや大豆の油かすであるが、どこで誰がどのように生産したかわからず、ポストハーベスト(収穫後の農薬散布)の問題もあった。一方、同じ山形県で、長年の減反政策による水田の減少や耕作放棄地の増加に頭を痛めていたのが〈JA庄内みどり遊佐支店〉。主食用米の供給過多によって米価が低下することも課題であった。一度放棄された土地の力はなかなか回復しないため、なるべく農地として耕作を維持することが望ましい。

自然の光や風が入り、自由に動き回れる広さの豚舎で、運動したり、床に敷きつめられたふかふかのたい肥のベッドで寝たりと、のびのびと過ごしている豚。飼育にかかる日数は約200日。

そこで〈生活クラブ〉は、それぞれの立場から食料自給力の向上を目指していた生産者同士をつなぎ、使われていない遊佐の田んぼを活用した「飼料用米」で豚を育てる試みを提案したのだ。そして2004年、飼料用米を育成し、豚に給餌する試みがスタート。豚の糞をたい肥にし、そのたい肥で農作物を育てることによって、飼料の国内自給率はアップした。そのうえ、飼料用米の給餌により、豚肉の旨みも上がったのだ。さらに水田が担う温暖化防止や貯水機能など環境保全の側面からもこの取り組みは高く評価され、2018年3月、〈平田牧場〉は第1回「飼料用米活用畜産物ブランド日本一コンテスト」(主催:日本養豚協会)にて、農林水産大臣賞を受賞。これがモデルケースとなり、別の産地にも取り組みが広がっている。

トウモロコシや大豆の油かす、大麦などに、粉砕した飼料用米を15~30%ブレンド(肥育期による)。1頭の豚が成長するまでに、約73.5kgの米を食べる。

資源循環型農業を支える「よやくらぶ」

こうした循環を成り立たせるには、買い支える消費者の存在が必須である。つまり、組合員が豚肉や米を食べ続けることで、滞りなく循環するのだ。そのために〈生活クラブ〉が考えたシステムが「よやくらぶ」。

米を食べて育った豚は脂質がすこぶる良く、独特の甘みと旨みが加わり、舌先でさらりととろける食感に。その豚が排せつした糞を発酵させて完熟化し、尿を浄化・曝気(ばっき)して液体肥料にしたものをたい肥にして育てたのが〈JA庄内みどり遊佐支店〉の「庄内 遊YOU米」。たい肥は臭いも少なく、稲や野菜の根腐れを起こしにくいので、米の収量も増加したそう。

〈生活クラブ〉は、組合員一人一人の注文をまとめて生産者に発注する「共同購入」という仕組みで成り立っているが、さらに定期的に届くように予約する「よやくらぶ」を設定。「共同購入」によって生産者は計画的に生産・出荷ができ、製品の保管や物流にかかるコストなども抑えられる。そして「よやくらぶ」は決まった数量を継続的に食べるという約束によって、生産がさらに安定し、つながりも増すのだ。なかでも、次世代が安心して健康に暮らしていく社会を目指す「ビジョン(展望)」をもって生産し、利用する「ビジョンフード」(主に、米、牛乳、鶏卵、畜肉、青果物)は、「ビジョンフードよやくらぶ」と位置付けられている。

耕畜連携によって有機資源を循環させながら農産物を生産することで、土地の持つ本来の力を維持し、おいしい豚肉や農産物を食べ続けられる。持続性が高い理想的な農業体系は、健康で安心して暮らせる社会の実現の大きな柱となるはずだ。


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生活クラブ事業連合生活協同組合連合会


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Photo:Tetsuya Ito Illustration:Kahoko Sodeyama Text & Edit:Shiori Fujii