2021.12.05
# 流通 # スーパー

日本人の「魚離れ」を加速させた、大手スーパーの魚売り場の「重い責任」

安さと安定感を追求した結果
川本 大吾 プロフィール

効率的な仕入れや配送を実現したスーパーにとって、地域自慢の魚を優先的に扱うのは至難の業。最近では「朝獲れ鮮魚」とうたってその日水揚げされた魚を販売するところもあるが、大手スーパーの鮮魚は、漁港などからいったん地域ごとに配送センターに送られてから、各店へ運ばれるため、魚種や大きさが予想できない当日の朝に獲れた鮮魚を扱うのは無理がある。

その点、大きさや数量が事前に分かる養殖魚は「さく取り」(刺し身で食べる際、切り分けやすいようにブロック状にすること)のほか、刺し身用や切り身用など店頭での販売形態を予定しながら準備ができるため都合がいい。

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解決策は「おいしく食べてもらう」こと

まちの魚屋さんが姿を消したことで、安くて簡単便利な魚ばかりでは、魚離れは止まらない。ただバイヤーを卒業した小谷氏は、新型コロナで巣ごもり需要が増えた今が「魚食復権の好機」とみる。

近年はサンマやサケ、イカなど、旬の魚介が不漁で高く、「庶民の味」から遠ざかっている印象。日本の魚の水揚げ量は2020年が約420万トンで、ピーク時の3分の1にまで落ち込んでおり、その分だけ価格が上がれば魚離れも仕方のない傾向と言える。だが新型コロナは食生活にも多大な影響をもたらし、魚食にも明るい兆しが出てきた。

総務省がまとめた家計調査によれば、減少の一途だった生鮮魚介の購入量が昨年、なんと18年ぶりに前年水準を上回った。中にはアジやサバ、カレイ、イワシといった、生で買えば面倒な調理を伴う魚種の購入量も多い。

小谷氏は「最近、デパ地下などにコーナーを構えるチェーンの鮮魚量販店では、低価格で極力質の良い魚を店頭に並べて消費を促そうと努力する姿勢がみられる」という。スーパーでも「調理方法を店頭に設置したテレビ画面で見せたり、QRコードを活用したりして、魚のおいしい食べ方を周知する取り組みも目立つ」と話しており、魚食の将来に期待をつないでいる。

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