2021.12.05
# 流通 # スーパー

日本人の「魚離れ」を加速させた、大手スーパーの魚売り場の「重い責任」

安さと安定感を追求した結果
川本 大吾 プロフィール

十数年の前のある日、魚の売り上げが低調な中、水産加工品の消費喚起を狙った加工メーカーとの意見交換の場で、小谷氏は売り上げが振るわない理由について、メーカー側の率直な声を聞いてみた。すると、業者から開口一番に返ってきた答えは「小谷さんご自身が一番お分かりでしょう?」。鋭い一言に言葉を失ったという。

鮮魚とともに、魚売り場に欠かせない干物や練り製品(ちくわ・かまぼこ)などの水産加工品。値下げ競争が過熱する中で「通常1匹120~130円で販売していたアジの開きなどを、一定期間100円で特売することがあったが、それが常態化したことで、連日原価に近い価格で売らなければならなくなった」と小谷氏は振り返る。

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アジ以外にも、当時その2倍以上の価格のキンメダイやノドグロなどの開きを販売していたが、安売りのアジに比べ売れ行きがさえないとあって、次第に棚から外されていったという。さらに特売品とは別に仕入れていた、質の高く少々値の張る、つまり「脂が乗っておいしい」アジの開きも仕入れなくなり、「安いものばかりを選んで売り場に並べるようになったことで、選択の余地がなくなってしまった」と嘆く。

消費者にとっては、たまにはちょっぴり値の張るおいしい魚を食べたいと思うこともあるが、売り場から姿を消したことで、極端に言えば「焼いたらぱさぱさのアジの開き」しか買えなくなってしまったのだ。加工メーカーが小谷氏に指摘したのは、この点だった。

「安さ」を追求しすぎた結果

マグロにも、コスパ重視の落とし穴があった。量販に向くスーパーのマグロの定番商品といえば冷凍メバチマグロ。マグロは大型ほど脂が乗っており、魚市場では概ね50キロを超える「大バチ」と、およそ30キロ以上の「中バチ」などに分けられる。

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