2021.12.05
# スーパー # 流通

日本人の「魚離れ」を加速させた、大手スーパーの魚売り場の「重い責任」

安さと安定感を追求した結果
川本 大吾 プロフィール

水産庁も「いわゆるまちの魚屋さんが、魚介類の旬や産地、おいしい食べ方などを消費者に教え、調理方法に合わせた下処理のサービスなども提供して、食生活を支えてきた」(平成28年度水産白書)と、小規模な鮮魚店の存在を改めて評価している。

主流となったスーパーの店頭は、まちの魚屋さんとは正反対。規模にもよるが、まずスーパーの店員は店の裏に入ったまま「品出し」のとき以外は姿を現さない。ほとんどが無人である。ただ、魚の品揃えは充実しており、売り場はそれなりのレイアウトを保っている。

品揃えで最大の特徴は、いわゆる「4定」だ。4つの定は、一定価格、一定量、一定品質、一定規格。つまり、いつでも同じ魚を同じ値段で同じ量買えるという、安心感を消費者に持ってもらうため、店側が工夫して仕入れを行っている。

Photo by gettyimages
 

激化していく魚売り場の「値下げ合戦」

2000年以降はデフレ経済が進行し、低価格化競争が激化。魚の値段もご多分に漏れず、安さを追求する時代に突入した。今とは違ってサンマは豊漁。ウナギも流通量が豊富で、ワンコイン(500円)のうな丼店がまちに出現し、話題となった。

そんな頃、小谷氏は知らない人はほとんどいないという大手スーパーの魚バイヤーで、売り上げを確保しようと、全国各地の漁港を飛び回っていた。「サンマのシーズンが始まれば、すぐさま北海道の漁港に足を運び、他のスーパーよりも1円でも安く初物を売ろうと商談した」(小谷氏)という。産地では、多くを仕入れてくれる大手スーパーは頼もしい存在だったに違いない。

こうしたコスパの追及は、消費者にとってはありがたいのだが、長い目でみれば、スーパーは足をすくわれかねないというのが小谷氏の指摘だ。安さを追求する一方で、欠かせないのがクオリティーの維持。「安かろう・まずかろう」では、売り上げが立たなくなるのは言うまでもない。

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