2021.12.05
# 流通 # スーパー

日本人の「魚離れ」を加速させた、大手スーパーの魚売り場の「重い責任」

安さと安定感を追求した結果

世界一の長寿国・ニッポン。世界保健機関(WHO)が2021年にまとめた報告書によれば、19年調査の結果、日本は男女の平均寿命が84.3歳でスイスを抑えてトップ。医療体制の充実に加え、その要因とされるのが、脂肪摂取量が少なく、バランスの取れた伝統的な食文化「和食」だ。和食は2013年に、ユネスコの無形文化遺産にも登録され、健康志向も相まって、世界的に注目を集めている。

ところが、和食の代表格とも言える「魚食」が、その伝統を継承してきた日本で危機的な状況に直面している。およそ10年前、日本人の魚摂取量は肉に抜かれ、その差は現在も拡大傾向。若者を中心とした「魚離れ」が指摘され続けている。

食の欧米化が進む中で、40年にわたって大手スーパーで魚の取引を担当し、チーフバイヤーまで務めた現・水産アドバイザーの小谷一彦氏(65)は、自ら行ってきた魚ビジネスを振り返りながら「スーパーの魚販売と、日本人の魚離れには切っても切れない関係がある」と打ち明ける。なぜだろうか――。そのわけを詳しく解説する。

大手スーパーで長年にわたって魚のバイヤーを務めてきた小谷一彦氏。現在は水産アドバイザーとして活躍している
 

「まちの魚屋さん」が消え、スーパー中心に

水産庁や業界団体によると、近年、消費者の魚の購入先は7割以上がスーパーなど量販店となっている。かつて魚は近所の鮮魚店で買うのが当たり前だったが、高度成長期から大型スーパーが各地に進出。その結果「まちの魚屋さん」は次第に姿を消し、乱立するスーパーで買うのが主流となった。

魚や野菜、肉といった生鮮食料品のほか、生活必需品が1店で何でも揃うスーパーは、都市部だけでなく、地方の消費者にとっても強い味方。増加する共働き世帯を支える意味でも、なくてはならない存在となっている。同時に、核家族化の進行や、食の欧米化に伴う米消費の減少も手伝って、魚介類の消費は次第に減少傾向をたどることになる。

関連記事

おすすめの記事