木村健二さん(仮名・46歳)は、マンションの理事長を引き受けることになった。これまで家事をほとんど妻に任せてきた木村さんは、年末年始、収集がストップしたマンションのゴミ置場にゴミが溢れかえることをはじめて知った。
前編〈マンションの「ゴミ問題」が年末に大勃発「天井までゴミ袋に埋め尽くされて…」〉ではその様子を、管理会社のフロント担当者と他の理事のやりとりを交えてお伝えしたが、木村理事長は三が日もサービス残業でゴミ置場の管理をしてくれる管理員と話し合いをすることになる。そこで知ったのは、日頃出る家庭ゴミ以上に厄介なものの存在だった。
正式に申請しないままゴミ置場に放置
1月3日に管理員が様子を見にきてくれることを知った木村理事長は、お礼の気持ちも兼ねて管理員と意見交換することになった。以下はそのやりとりだ。
木村理事長「おはようございます。新しく理事長になりました、603号室の木村と申します」
管理員「おはようございます。ご丁寧にありがとうございます。昨夜は理事会だったんですよね?」
木村理事長「はい。こちらこそいつもありがとうございます。年末年始のゴミ収集のことフロント担当者の方からお聞きしました」
管理員「いえいえ、慣れてますから。お気遣いありがとうございます」
考えてみれば、管理員と話すのはこれがはじめてで、名前すら知らなかった木村さん。管理員の勤務時間が自身の勤務時間と重なり、ちょうど入れ違いになっていたり、木村さんのようにお話したことがない、という方も多いのではないだろうか。
その後も管理員さんと雑談していると、意外かつ重大な問題が明らかになってきた。それは、「粗大ゴミの放置」である。

管理員「もちろん年末年始のゴミ置場が埋まってしまうのは、収集がストップするからなんですが、もうひとつ原因があるんです。年末に一斉に粗大ゴミを出して、中にはうまく手続きされていないゴミも多いんです」
ご存知のとおり、粗大ゴミは各自治体のルールに沿って、ホームページなどで集荷日程を申請し、コンビニなどで処理券を購入し、ゴミに貼り付けたうえで捨てければならない。さらに管理組合によっては、
だが、誰もがそのルールをきちんと守るわけではない。処理券は貼ってあっても申請がされていなかったり、そもそも粗大ゴミなのに一般ゴミとして出され回収されず、そのままゴミ置場に放置されるケースもある。