2021.12.04
# ビジネス

日本人が知らない、養豚の「残酷な現実」…日本ハムが“改善の草分け”になるか?

消費者も無関係とは言えない
細川 幸一 プロフィール

スペースの削減という理由から個々の飼育スペースは母豚のサイズと同程度でほとんど身動きが取れない。頭部に給餌・飲水設備が設置され、尻部の床はすのこ状になっており糞尿が下に落ちる仕組みになっている。母豚は分娩が近づくと分娩ストールに移動させられ、子豚が離乳すると次の種付けが行われて再び妊娠ストールに戻される。

ストール飼育される母豚は、精神的に異常をきたす。周囲の柵をかじる、口の中にものが入っていないのにそしゃくし続ける、水を必要以上に飲み続けるといった異常行動が知られている。また、妊娠ストールで飼育される母豚にはさまざまな健康問題、例えば、尿路感染症、呼吸器疾患、皮膚病変、骨密度の低下、筋肉の健康状態の悪化なども報告されている。

檻を咬み続けるなどの異常行動を見せる豚(アニマルライツセンター提供)
 

豚は本来、泥浴びをして、体温を下げ、外部寄生虫を落とし、心身の健康を保つ行動をする。特徴的な鼻はとても鋭敏かつ頑丈で、地中に隠れたごちそうを掘り起こす。土を掘る行動は豚にとって重要で自然な行動であり、気になればすぐに鼻を使って地面を掘りはじめる。豚同士で挨拶をするときも鼻を使うのだという。

こうした豚の本来の行動を抑制し、ひたすら人間が効率的に肉を得るように「改良」を続けた結果がこのストール飼育(拘束飼育)なのだ。

世界各国の企業が、廃止へと向かっている

こうした状況のなかでアニマルライツセンターなどの動物愛護団体は妊娠ストールの廃止を強く求めてきた。EUでは2013年から妊娠ストールの使用は禁止(種付け後4週間と分娩前1周間・分娩時は除く)されているし、世界最大であるブラジルの食肉企業も、中国最大の食肉企業も、タイ最大の食肉企業も廃止を明言し、世界中が豚本来の生き方に近づけ、群れで自由に動き回れる飼育に切り替えていっている。ストール飼育がアニマルウェルフェアの観点から問題があるからだ。

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