【数学間違い探し】雑誌・新聞も間違っていた⁉ 「AKBじゃんけん大会」の本当の確率

考える力が身につく「数学間違い探し」
芳沢 光雄 プロフィール

上級の話題

ガロア理論での話題である。

2018年に出版した拙著『今度こそわかるガロア理論』(講談社)を執筆しているとき、ガロア理論の例で面白いものを挙げようと思って、いろいろな参考書を眺めていた。そのとき、かつて代数学の演習書として何度もお世話になった『代数学』(現代数学演習業書1、岩波書店)にも目を通した。この書は1968年に第1刷を発行で、筆者がもっていたものは1973年発行の第3刷であった。かなり重い書であるので、現在ではあまり見掛けないかと想像するが、難しい例も多く含む良書であり、学生時代に学んだときは訂正する必要のある部分は無かった記憶がある。

その書で説明も付いた例として載っていたものに、「有理数全体からなる体Q上の多項式 f(x)=x⁴-2のガロア群と拡大体の関係図」があった。名著であるだけに、そのまま信用して転載する手もあるかも知れないが、筆者の精神としてそれは受け入れられないものであった。そこで、きちんと自分なりにガロア群と拡大体の関係図を求め、何度も慎重にチェックして得た筆者のものと、その書に載っているものには小さくない違いがあった。

そこで代数学も専門とする知人にも確認していただき、筆者のものを上記拙著に掲載したのである。想えば、かつて群論や離散数学の専門の論文を読んでいるとき、小さくない間違いはいくつも目に留まり、自分なりに修正して読んだものである。そのような経験があっても、ガロア理論に関する上記の修正は、筆者として忘れられない「数学間違い探し」となった。

大切なことは、「可能な限り自分自身で理解してチェックする」精神である。その精神をもっていると応用力が育まれるだけでなく、思わぬ発見にも繋がることがある。その真逆に相当することが、「理解せずに『やり方』を暗記してただ真似するだけ」の学びだろう。現在は、このような困った学びが小中高校生を中心に広く浸透していることに憂慮し、冒頭で紹介した書を1年前に出版したのである。

最後にガロア理論というと、一般の読者からは「代数的に解ける方程式と代数的に解けない方程式」の話題に関心が向くことがよくある。代数的に解けるとは、与えられた方程式の係数と四則演算と根号記号で解を表すことである。拙著『今度こそわかるガロア理論』には、代数的に解けない無限個の例として、次の多項式を作って載せておいた。もちろん、その説明は一からきちんと組み立ててある。

代数的に解けない方程式の例(pは5以上の素数)

(x² + p)(x-2p)(x-4p)(x-6p) … (x-2(p-2)p) + p=0

一年間に渡る連載を読んでいただき、ここに心から感謝する次第である。

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