【数学間違い探し】雑誌・新聞も間違っていた⁉ 「AKBじゃんけん大会」の本当の確率

考える力が身につく「数学間違い探し」

本年1月から開始した月1回の「数学間違い探し」の連載は多くの方々に読んでいただき、大変嬉しく思う。1年前に出版した『AI時代に生きる数学力の鍛え方』(東洋経済新報社)で筆者は、理解を軽視した暗記だけの数学の学びの問題点を指摘し、楽しく学ぶ生きた題材もいろいろ紹介した。

本連載は、算数・数学にある「間違い」を見付けるためには、理解の学びが大切であることから思い付いたものである。毎回、初級、中級、上級の3題の「間違い探し」問題を順に出題し、様々な反響をいただいた。

今回は最終回ということもあって、社会や数学における間違いの中で、間違いを見付けたときグッときた思い出深い3つを紹介しよう。初級、中級、上級の順に述べよう。

初級の話題

アイドルグループAKB48には、かつてテレビに一緒に出演させていただいたり、「第1回じゃんけん選抜トーナメント大会」公式ガイドブック誌上(2010年)で期待値計算をさせていただいたり、いくつかの思い出がある。

翌年の2011年の夏、「第2回じゃんけん選抜トーナメント大会」は71名が参加で、「上位8人の8連単を当てる確率は1兆5427億9448万640分の1」という雑誌やスポーツ新聞での記事、あるいはテレビでの報道があった。ちなみに8連単を当てると、気に入ったメンバーと雑誌の表紙に登場できるという特典付きであった。それを見聞きした瞬間に、「これは怪しい!」とピンと来たのである。

報道の誤りを訂正することは「数学教育の生きた教材として意義がある」と考え、以下指摘する誤りの本質を「週刊朝日」2011年9月23日号などに書いた。なお、じゃんけんでの強弱は無いものとする。

「第2回じゃんけん選抜トーナメント大会」では図のようなトーナメント表があらかじめ名前入りで発表されており、この表を見ながら上位8人の順位を予想する。

A~Gブロックでは9名から1名のブロック代表が、Hブロックでは8名から1名のブロック代表が勝ち上がる。この上位8人の順位の組み合わせを考えると、8連単を当てる確率は、

(1/9)⁹ × 1/8 × 1/8! = 1/1542794480640

と計算できるというのだ。

誤りの本質は2つあって、1つはA~Gブロックそれぞれに参加する9人がブロック代表になる確率を全員1/9としたこと(左隅の2人のその確率は他の者の1/2である)。

もう1つは図のベスト8における順位が、8人すべての順列があるとして計算されたこと(優勝者と準々決勝で対戦した者は5~8位にしかなれない)。

以上の2点である。

途中の計算はやや煩雑なので、省略させていただいて結論を述べると、予想した8連単が的中する確率は、8兆7960億9302万2208分の1以上、687億1947万6736分の1以下となったのである(Aブロックの代表が優勝、Bブロックの代表が2位になるといった、起こり得ない事象は対象外)。

たとえば、自分が予想した上位8名のうち7名がA~Gブロックの一番左の不運な場所にいる場合、この順番に1位から8位になる確率は一番厳しい8兆7960億9302万2208分の1ということになる。

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