2021.12.02
# エンタメ

まだ不幸の先がある『カムカムエヴリバディ』上白石萌音が深津絵里の母を演じる理由

木村 隆志 プロフィール

深津絵里に求められる高難度の演技

『カムカムエヴリバディ』は、上白石萌音、深津絵里、川栄李奈の3人がリレー形式でヒロインを務める異色の作品。発表された当初は、「なぜこの順番なの?」という声が飛び交っていたように、「上白石が深津の母親役?」という点に首を傾げる人が少なくなかった。

もちろん実年齢と役年齢の問題はあるだろう。現在23歳の上白石は14歳の安子から演じているが、これを現在48歳の深津が務めるのはさすがに無理がある。一方で現在26歳の川栄なら問題はなさそうだ。

上白石が選ばれた理由は、100年間にわたるファミリーヒストリーのトップバッターに最適であり、戦争前後の苦しい日々や数々の不幸を背負う演技ができるから。安子の人柄と人生は、るいに受け継がれ、影響を与え、さらにそれは、ひなたにもつながっていく。

上白石は、そのベースを作り、極限の不幸を背負った上で、“るい編”につなげることが求められていたのではないか。やはり「この役を演じられるのは彼女以外に考えられない」のかもしれない。

深津絵里さん/photo by gettyimages

また、るいを演じる深津に求められる演技レベルも高い。「母を憎むという苦しさを抱えて生きなければいけない」「しかし、母と似ている点や、幼き日の記憶もある」「自身もひなたの母親となり、母の気持ちがわかりはじめる」などの複雑な心境を演じ分け、最後の川栄にバトンを渡すことが予想されている。

稔は「るい」と名付けた理由を「(ジャズのルイ・アームストロングにちなんで)どこの国とも自由に行き来できる。どこの国の音楽でも自由に聞ける。僕らの子どもにはそんな世界を生きてほしい。“ひなた”の道を歩いてほしい」と語っていた。るいが自分の娘に、その“ひなた”という名前をつけたところに、安子との和解を予感させられる。

 

だからこそ現在放送中の“安子編”では、不幸続きでも、るいのために前を向き、必死に生きる安子の姿をしっかり描いているのだろう。むしろ、安子の不幸が続くほど、極限まで追い込まれていくほど、“るい編”の感動が増すのではないか。

もし「あまりにつらいから見るのをやめようかな」と迷っている人がいたら、迷わず見続けることをおすすめしたい。

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