「お月様がみたい」とおっしゃる愛子さまと…

「花鳥風月」「雪月花」など、日本人は四季のうつろいを美術工芸や文芸の題材としてきました。「月見」や「観月」の風習があるように、月は愛でるものであり、その情景に合わせた月の呼び名もたくさんあります。「立待ち月」とは、陰暦の十五夜から2日後にあたる十七夜の月のこと。十五夜の満月を過ぎると月の出は徐々に遅くなるため、十八夜の月は「居待ち月」、十九夜の月は「寝待ち月」、二十夜の月は「更待ち月(ふけまちづき)」というように、わたしたちの祖先は太陽が西に沈むと東の夜空を眺めながら、月の出を心待ちにしていたようです。

文豪の夏目漱石が「I love you」を「月が綺麗ですね」と訳したという逸話があるように、わたしたち日本人にとって、月は自らの心を映し出すものであり、愛する人への思いを託す特別な存在なのかもしれません。雅子さまがお詠みになった歌は奥ゆかしい表現でありながら、わたしたちの感性に訴えかけるものがあります。月を愛でるように、わたしたちの心にも愛情と敬意が広がっていくように感じられるのではないでしょうか。

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もうひとつ、月をお詠みになった歌を見ていきましょう。平成19年の歌会始では、次の歌が披講されました。

「月見たしといふ幼な子の手をとりて出でたる庭に月あかくさす」

「お月様がみたい」とおっしゃる愛子さまと、東宮御所のお庭に出たときの秋の情景をお詠みになられたものです。5歳になった愛子さまの小さな手のぬくもりを感じながら、幸せなひとときを過ごされたのでしょう。5歳になると言葉も豊かになるので、お月様についてさまざまなお話をなさったのもしれませんね。

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このように幼少期から月を愛でる文化に親しまれたことが、天体観測へのご興味を引き出すきっかけとなったのでしょうか。高校生になると愛子さまは、ご両親とご一緒に天体望遠鏡や双眼鏡を使って、皆既日食を鑑賞なさっています。(平成30年1月31日)