「副業話」にのめり込んでいく夫
昼間のカフェテラス。将司さんとAはお互いについてのいろいろな話をした。
Aは将来海外でレストランをやりたいという夢があり、そのために貯金をしているという。今まで自分の夢や目標を持ったことがなかった将司さんは、前向きで努力家なAに尊敬の念を抱くと共に、女性としても惹かれはじめていた。
「俺もAみたいに何か頑張りたいよ」
「そしたら一緒に副業はじめない?」

ここからはよくある「マルチ商法の常套手段」だった。Aに好感を持っていた将司さんは、その話に乗ることを決める。
「上層部の人間しか稼げない」といわれるマルチ商法だが、将司さんは営業で培ったスキルを活かし、メキメキと成果を上げていた。今まで報われなかった努力がすぐに数字として反映される日々に、この上ない充足感を感じていた将司さん。そしてその気持ちはとんでもない方向に向かっていた。