高級ホテルの“愛人”の正体
里美さんは自宅に帰るなり証拠写真を突きつけ、将司さんに改めて離婚の理由を問い詰めた。
すると将司さんは観念したように重たい口を開いたのだった。
入社から6年目、将司さんはいくら業績を上げても、あと数年は昇級も見込めない会社に対してぼんやりとした不満を抱えていた。
そんな愚痴をふと先輩にもらした時、「交流会に行ってみないか」と誘われたのだった。「交流会」や「パーティー」など、どこか胡散臭いものだと敬遠していた将司さんだったが、子供もほしいと思う今、今後の生活のためにも何も行動しないわけにはいかなかった。そして「どんなものか見てみるだけ」と初めて参加した会で出会ったのが高級ホテルで寄り添っていたA(26歳)だったという。
Aは可愛らしい容姿で明るく愛想も良い、とにかく印象の良い女性だった。
初めて会った時は「モテそうな人だな」くらいには思ったが、元々浮気をしようなんて気持ちも一切なかった将司さんにとって、Aの存在は自分とは特に関係のないものだった。
しかしAは将司さんに興味を持ったようで、会場で色んな事を話すうちに徐々に打ち解けていった。Aも営業の仕事をしているらしく共感するところも多かった2人の話は弾んだ。そして会が終わり「またなにかあれば」程度の感覚で連絡先を交換したのだった。
その数日後、Aから「2人でまたゆっくり話したい」とメッセージが届く。「浮気するわけではないし会って話すくらいならいいか」とAの誘いに乗ったのが最後、将司さんの人生は大きく変わっていく。