IDから性別欄をなくそうとする国があれば、男性優位の根深い国で声を上げることを始めたばかりの人たちもいます。国や地域によって違う、世界のジェンダーとダイバーシティ。様々な取り組みの最前線から、話題のフェムテック・プロダクトまでを紹介します。今回は、イギリス、スウェーデンなど、欧州の事例をピックアップ。

【ギリシャ】
MIGRATORY BIRDS

難民キャンプの少女たちが立ち上げた新聞。

彼らは非営利団体〈Network for Children’s Rights〉が母体となり活動。

メディアによって作り上げられた難民像というのは、少なからずあるだろう。〈MIGRATORY BIRDS〉は、ギリシャのシスト難民キャンプに住む15人のアフガン少女と、1人の若いギリシャ女性が立ち上げた新聞だ。

ギリシャの新聞〈EfSyn〉の付録として2ヵ月毎に無料で発行。今年4月で4周年を迎えた。

彼女らは外部が作る難民像に不満を抱き、自らジャーナリストとして難民の声になろうと決意。当初は女子だけであったが、次第に男子も賛同し、参加。現在は移民者、難民、ギリシャ人の若者たちによって構成され、出身国も様々。

アフガン女性は男女格差により発言しづらい文化的背景にあるが、ここでは自由に書け、自分を表現できる。自ら発信し、道を切り開いたのだ。目標は世界の多くの人に声を届けること。ガールズパワーが動かしたその夢は、すでに叶い始めている。

migratorybirds.gr

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【スウェーデン】
MÄN

男性が男性の暴力に対し、声を上げる。

女性の声を聞く会を行ったり、男性同士で男性の問題を話し合ったり、様々な活動が行われている。

旧ユーゴスラビアのボスニア・ヘルツェゴビナ内戦下では、イスラム教徒の女性たちがセルビア人勢力に監禁され、性暴力を受けた。被害女性らは男性優位の社会で軽視され、孤立することを恐れて沈黙するほかなかったという。その傷は未だに癒えていない。

代表のアラン・アリ。

このような女性への暴力を報道で知ったアラン・アリは、1993年に女性と子どもへの様々な暴力に対して疑問を抱いた男性たちに呼びかけ、ジェンダー平等を目指し、暴力反対の活動をする目的で〈MÄN〉を結成。

団体は設立からもうすぐ30年になるが、現在も性的暴行に苦しむ女性たちに代わり、男性が男性の暴力に反対して声を上げ、物申す日々は続いている。本来あるべき男女の平等の姿を考え、本当の男らしさとは何なのかについて話し合うなど、活動内容もユニークだ。

mfj.se

【ドイツ】
@ichbin sophiescholl

女性活動家ゾフィー・ショルが、現代に生きていたら?

哲学と生物学を専攻していた大学生、ゾフィー役は俳優ルナ・ヴェードラーが演じている。「インスタは今や、動物や食事の写真をアップするだけでなく、人種差別や気候変動、ジェンダー平等などアクティヴィストの世界に向けた舞台にもなり得る」とコメント。活動家である前に、ゾフィーのおしゃれやアートが好きな活発的な側面、当時のインテリアやスタイリングにも注目。©SWR/BR/Sommerhaus/Rebecca Rütten

ミュンヘンの大学生が集まって非暴力でナチスに対抗し、反対運動のビラを配っていた白バラ抵抗運動の主要メンバー、ゾフィー・ショル。兄ハンスとともに21歳という若さで処刑された彼女の勇気と信念は、戦後のドイツに大きな影響を与えた。

ルートヴィヒ・マクシミリアン大学には財団が設立され、広場や通りに彼女の名前も見かける。今年5月9日にはゾフィー生誕100年を迎え、各地で特別展が開催され、書店には白バラ関連本が平積みになるなど、追悼の念が広がっている。

兄ハンスとの兄妹愛、ボーイフレンドとの関係性、学生間の友情など、ゾフィーの内面をルナが演じることで、教科書だけでしか知らなかった過去の歴史の出来事も、よりリアルに捉えられる。©SWR/BR/Sommerhaus/Rebecca Rütten

なかでも最も注目されているのが、南西ドイツ放送とバイエルン放送によるインスタグラム・プロジェクト〈@ichbinsophiescholl(私はゾフィー・ショル)〉

俳優を起用しての動画配信など、マルチメディアで当時のゾフィーを現代とリンクさせ、宗教、ジェンダー、出身にとらわれない憲法、民主主義、表現の自由を若い世代に問う。

彼女の日常をSNS発信することにより親近感が増し、5月のスタートから1ヵ月でフォロワー数も100万に迫る快挙だ。強い意志と優しい心を持つゾフィーは今もドイツ人にとって国民的アイコンなのだ。

www.instagram.com/ichbinsophiescholl