覚えておくべき2つの対応方法
正確性の担保では下記の4つのいずれかの措置を取る必要がある。

(1) タイムスタンプが付与された書類を受け取る
(2) 受け取った書類にタイムスタンプを付与する
(3) 訂正削除の記録が残る/訂正削除ができないシステムを利用する
(4) 訂正削除の防止に関する事務処理規程を備え付ける
このように電子取引情報の保存には細かくルールが決められており、2022年1月からすべての事業者にて何らかの対応が必要になる。もし違反状態で事業を運営していると青色申告の取り消しや、追徴課税を受ける可能性があるのだ。
*注 本稿執筆後に「政府・与党は2022年1月に施行する電子帳簿保存法に2年の猶予期間を設ける」ことが日本経済新聞などの報道で伝えられた。企業の対応の遅れがそこまで目立っているのである。
対応方法は二択。
ファイル名に日付・金額・取引先を付け(例:20221031_(株)国税商事_110000.pdf)、税務職員の求めに応じて一括ダウンロードできるようにしておくなど、新たなサービス等の導入は必要が無い回避方法がある。但し、この方法は運用の徹底や、訂正削除の記録など業務負荷が高くなる可能性に注意が必要だ。
もう一つは電子取引情報を保存するシステムを導入する方法である。昨今、さまざまなサービスベンダーが電子帳簿保存法対応をうたいセミナーを開催しているが、電子取引情報の対象となる業務範囲は広いため、販売管理システムや経費精算システムなど業務特化型のサービスを組み合わせてもすべてをカバーするのは難しく、網羅的に対応できるように注意しなければならない。

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このような中、業務特化ではなくあらゆる電子取引情報の保管に対応したサービスが徐々に出始めている。従来もスキャナ保存制度に対応する大企業に向けたサービスはあったが今回の法改正を受けて、安価で気軽に利用できるサービスが増えている。